今日の一冊
登場人物
堂場菜々子
小さいころから鼻崎町に住んでいる。
一度は町を出ていくが、鼻崎町にある大手食品会社のハッスイで働く夫と結婚しこの町に戻ってくる。
義父はすでに他界。義母は5年前に男と失踪。
現在は義母の帰りをまちながら商店街の仏具店の店番をしている。
交通事故にあい車いす生活をしている娘久美香がいる。
義母に教えてもらった花のモチーフを一心不乱に編むことが菜々子のストレス解消法
星川すみれ
陶芸作家。音信不通となっていた元カレ宮原健吾に昔働いていた鼻崎町で家を建てたから一緒に住まないか?と言われてこの町に来る。
鼻崎町の美しさにほれ込み、夫のつくってくれた釜で陶芸をする毎日。
町の活性化のために、この町にやってきた他の芸術家と共に、商店街での祭りを企画する。
相場光稀
ハッスイで働く夫明仁に連れ立ってこの町に来た。
同じハッスイで働く夫を持つ女性と一緒に雑貨とリサイクルのお店を始めるが、その女性は夫の栄転により東京へ戻り、今は新しいメンバー達と一緒に店を続けている。
娘の彩也子は、何でもできて子育てには苦労していない。
彩也子は年下で歩けない久美香の面倒をよく見ている。
あらすじ
お祭り開催
鼻崎町の芸術村にすむすみれたちの立ち上げにより商店街でお祭りが開催されることに。
アーティストたちが中心になってくれたこともあり、お祭りにはいつもよりたくさんの人が訪れ成功したかのように思われたが・・・
火事
祭りの企画。無料で料理を提供していたcafeが火事に。
怪我をしたのは車いすの久美香を背負って逃げようとしてこけてしまった彩也子。
おでこにはツキノワグマのような傷が残ってしまった。
ただ彩也子はその後二人の友情の証としてすみれがつくった翼のストラップを久美香とおそろいで持ち二人は親睦を深める結果に。
翼をください
その後彩也子は翼のストラップを題材にした作文を書く。
足の悪い久美香にもし翼があったら、いや私にも久美香にも片方ずつ本当は翼があり、二人手を取り合えばどこにだって飛べる。皆もその片方の翼の存在に気づいて欲しい。
といった内容。
この作文が新聞で紹介され、すみれはこの作文を二人の写真と共にネットで拡散ボランティア基金「クララの翼」を立ち上げる。
反響は予想以上。雑誌やテレビの取材も受けるように。ところが周りからは徐々に疎まれるようになる
殺人事件と芝田
ところで菜々子達地元住民は、すみれたちがよくあの場所に住んでいるなと感じていた。
実は芸術家たちが集まっている芸術村と呼ばれる場所鼻崎岬では昔殺人事件があったのだ。
犯人は芝田という人物で「お前、芝田か?」と書かれた指名手配のチラシは全国的に有名である、
クララの翼
誹謗中傷の書き込みが増えてきて、久美香が実は歩けるというデマやや彩也子のツキノワグマの形をした傷に対する中傷も出てきたため、クララの翼は解散することに。
ここで売上金を今まで寄付していなかったことを知り光稀達はすみれに不信感を抱くも最終的には集まったお金を寄付したことを証明する領収書を添付しクララの翼は解散する。
子供たちの誘拐
子どもたちは預かった。無事返してほしければ、今夜10時、鼻崎灯台に金を持ってこい。警察に知らせると子どもたちの命はない
というFAXが届く。
金額が書いていないことを不思議に思っていたが、どうやらこれは金(きん)のことらしい。
実は義母が失踪する前に置手紙と一緒に金の板が置いてあったのだ。
もしやこのFAXはそれをしった芝田から?
岬の火事
子供たちの安否が不明な中、岬の方で火事が起こる。
火の手はすみれの持つ釜。すみれは東京の友人の結婚式にでかけているのになぜ火事が?
しかもその炎の後ろから久美香と彩也子が出てきた。
久美香は自分の足で立っていたのだ。
そして火事のあった釜の下からは白骨化した芝田の遺体が・・・
ここからネタバレ
芝田の遺体が見つかったことにより警察のもとにはある手紙が届く。
それには
5年前に殺害された男性と駆け落ちする予定だったという女性からの匿名(義母)で、女性が待ち合わせ場所に行くと、殺害された男性と二人の男性が口論しているところで、その後駆け落ちするはずだった男性を2人が殺害したので怖くなって逃げだした。
一人は芝田として全国に指名手配されていたが、もう一人の男が今回火事のニュースで写真が出ていたすみれの元カレ健吾だったので今度こそは勇気をだして告発しなければと思い手紙にしたと書かれいた。
さらに手紙が嘘ではない証拠として金のプレートも添付されていた。
つまり、健吾が芝田も殺し死体を隠し家を建てた。
そこで菜々子からもらった花のモチーフをマフラーにしているすみれをみて、あの日殺害を目撃され金を奪って逃げたのが菜々子の義母だったことに気づき誘拐事件を起こした。
というのが真相。
けれどさらに真相の真相があり。
それは最後の彩也子の日記に書かれている。
久美香は噂されていたように少し前から歩くことができていた。
食堂の火事でも高校生が証言したように実際歩いてしまった。
そこで久美香と彩也子は健吾と相談し、誘拐を計画し久美香が逃げる時に歩けたことにしようと計画を立てた。
そしてその計画をつかって健吾は金を回収しようとしていた。
工房の火事は彩也子がマッチで火をつけることができることを久美香にみせたくなって誤って起こした家事だった。
3人の事件後
堂場奈々子
子供が歩けてよかったと心の底から喜んでいる。
実は義母が置いて行った金の板は3枚あり、そのうちの1枚だけのこして2枚は夫たちが見る前に自分の懐に隠していた。
なので私はいつでも自由になれると思ってこれからも生きていく。
星川すみれ
同級生小梅が芸能人をしながら陶芸をしていることに激しく嫉妬していたが、小梅が芸能活動をやめ陶芸に専念する。鼻崎町で自分の思い通りの作品をつくっているすみれがうらやましいといわれたことで気持ちが変わる。
パートナーの健吾が殺人事件に関与していたと知り、この町には住めないと小梅が手放す軽井沢の工房への移転を決める。
そのことで、他に移転する当てのない芸術村の他の人間からは裏切り者とよばれる。
相場光稀
誘拐があった日、光稀の夫はベトナム転勤を機に都会での暮らしを夢見る光稀に離婚を告げるつもりだった。
光稀もそれまでは東京移転できない夫に苛立っていたが、今回の事件で思いなおし、夫についてベトナムに行くことを決める。
感想
色々つめこんでいたためあらすじを書くのが難しかった・・
私としては久美香に親切に接してるようにみえて「算数は苦手だよね」と決めつけるところや同級生の友人がいないところやそもそもあんな作文を書く彩也子の闇をもっと明かしてくれるのかと期待していたけどなぁ・・
そのあたりは最後にはぼやーっとしたまま終わってしまいました。
田舎に昔から住んでる人と都会から田舎に憧れて移り住む人達との埋まらない溝だけに焦点をあてて書いた方が面白かった気がします。
この本はこんな人におすすめ
- 悪人ではなくごく普通の女性達のもやもやした関係を書いた本が好きな人
- 将来は田舎に住もうかなぁと考えている都会住みの方
湊かなえさんも、たくさん読みました。
このユートピアも読みましたよ。
でもやはり「告白」が初めて湊ワールドに出会った作品だったので、イチバン衝撃を受けたなぁ。
コメントありがとうございます。
私も湊かなえ作品はほぼ全作読みました。
特別好きというわけではないのですが読みやすさは抜群ですよね。
僕は全作品読んでいるのは(エッセイ以外)、伊坂幸太郎先生と中島らも大先生かな。
京極夏彦さん、宮部みゆきさん、辻村深月さん、貴志祐介さん、奥田英朗さんも7〜9割くらい。
あとは単発ですww