今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは―。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
横山/秀夫
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞記者を経て、作家として独立。「陰の季節」で松本清張賞、「動機」で日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
あらすじ
現役の警察官による殺人。
梶総一郎は白血病で息子を亡くし、今はアルツハイマー型の認知症を患う妻と二人暮らしだった。
息子の命日にお墓参りをしたことを忘れてしまい、自分がこれ以上壊れる前に殺して欲しいと妻に頼まれての殺人だった。
その後彼は二日の空白ののち自死ではなく自首をしてきた。
彼は妻を殺したことは認めているが、その空白の二日間については黙秘を続けている。
空白の二日間彼はなにをしていたのか?そしてなぜ責任感の強い彼が自死ではなく生きることを選択したのか?
この事件を、志木捜査官、佐瀬健司、記者、弁護士、裁判官、警務官の目線で追うお話。
ここからネタバレ
梶は息子を白血病で亡くした後、骨髄バンクにドナー登録していた。登録後適合者に選ばれ一人の命を救うことができていた。
本来相手の氏名や住所はわからないが、新聞記事の投稿から偶然提供した相手を知ることができた梶は骨髄提供者の彼に最後に会いにいった。
これが二日間の空白の出来事。
そして骨髄提供ができる51歳の誕生日までは何とか生きていたいと考えたのが自死しなかった理由。
この二つの謎が、刑務所にいる梶の元に、志木捜査官がラーメン店で働く少年を連れてくるシーンで明かされて物語は終了する。
感想
子供を白血病で亡くし、なおかつ自分がそのことを忘れてしまうかもしれない恐怖は死より怖い。
私が同じ立場でもやはり殺して欲しいと頼んだかもしれないなぁ。
でも逆に自分の大切な人がと考えると死んでほしくないわけだしこういう問題は相変わらず答えが出ない。
ただ、裁判官が「自分のアルツハイマーを患っている父を妻は一人で介護していることを考えると、相手が殺して欲しいと頼んだとしても殺すのは早計。」と考えてるところにはちょっと疑問。
それを言っていいのは、義父の介護を一人でしている妻だけだろう・・・
最後の、51歳の誕生日をもって自死するつもりの梶に、助けてもらった少年が「生きてください」と叫ぶところはぐっと来た
ぐっと来たからこそ思うけど、このラスト1年でもし適合者が見つかったらそれって移植できるのかなぁ?殺人者もドナーに移植することはできるんだろうか?その辺ちょっと疑問におもいつつ読了。
この本はこんな人におすすめ
- 警察内部の話を読みたい人
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