今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
ジュエリーショップで、婚約指輪を見つめるカップルたち。親に結婚を反対されて現実を見始めた若い二人と、離婚を決めた大人の二人。それぞれの思いが形になる光景が胸に響く「消えない光」他23編。人を好きになって味わう無敵の喜び、迷い、信頼と哀しみ、約束の先にあるもの―すべての大人に贈る宝石のような恋愛短編集。
「BOOK」データベース
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
角田/光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞を受賞。03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『かなたの子』で泉鏡花文学賞、同年『紙の月』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
「BOOK著者紹介情報」
あらすじ&感想
海外旅行にいけないなら海外が舞台の小説を
っとステイホームのストレスを読むことで解消するタイプですが
若いころから恋愛とかのドキドキも普段味わうことができないので小説で解消していました 悲しい。ということで短編の恋愛小説。
そのほかのジャンルでは男性が書いてるとか女性が書いているとか気にしたことがないのですが恋愛小説だけは女性が書いてる方が圧倒的に共感できる
逆に男性作家の恋愛小説は面白いとか面白くないとは別に
とか突っ込んでしまいたくなるようなシーンがあったりして共感ができないことが多い。
角田さんはしかも感覚がいい意味で庶民的というか恋愛部分以外の日常部分にもものすごく共感できるので読んでいてその世界に入り込みやすいです。
約束のジュエリー
高級宝石店をテーマにした超短編の連作短編
ティファニーのことだろうなぁと思っていたら初出がティファニーだった。
あの宿へ
学生のころ仲が良かった4人
その4人それぞれの短編を通して最終的にその4人が同じ場所で集合するという展開。
- 子どもはすでに大きくなり専業主婦の志織
- 離婚して現在独身の水穂
- 41歳で結婚して現在小さい子供がいるいずみ
- そして映画監督として成功し今回結婚を機に3人を招待した美南
この小説のなかでは全員が色々あったけど今はそこそこ幸せ
だから4人でまた笑顔で再会してる
今会うのはつらい・・・
って時が長く生きてるとあって、そういう時に小さいころの友情って結局はもろいものだったのかって思ったり自分の心の狭さが嫌になるけど(相手の幸せを妬んだりはもちろんしないけど今はちょっとみたいな)
それを乗り越えてまたこうやって笑顔であえる日があるのが友情のいいところだと改めて
さいごに咲く花
人がなくなる直前にその人に合った花が見える女性の話。
私だったら何の花が咲いてほしいかなぁて絶対考えちゃうよね
最後のキス
別れるときくらいは大人ぽくありたいと思う男の子が最後に普段はいかないような大人のバーで彼女とかっこよく別れる話。
これは素敵な話だった
幼い恋
最後のキスにでてきた彼女がその後大人の男性と付き合いながらあの時の別れを思い出すという話。
かっこつけていたけど実は手が震えていた元カレをバカにしない彼女がよい
おまえじゃなきゃだめなんだ
主人公が社会人デビューするとバブル期というのもあり急にもてるようになった
そこで主人公はフランス料理につれていってくれるような男性が求められるままに関係を結び、でもその後はその男性に執着してしまい捨てられるそして悲しむ間もなくまた別の男性がやってきてを繰りかえす
ただある日出会った男性はフランス料理でもイタリア料理でもない古いうどん屋に彼女を連れていき「うどんはこのやまだじゃなきゃダメなんだ」とどこにでもあるようなうどんを彼女に食べさせる。
彼女は自分がじゃけに扱われたと感じ嫌味をいって彼と別れる
その後年を重ねようやくおしゃれなお店なんかは知らないけど、誠実で優しい彼と出会い2年付き合うことで向き合うこととはこういうことなんだということを知る主人公。
後は彼からのプロポーズを待つだけ、そう思っていた彼女だが彼はある日突然
他の女性と結婚するといい彼女を振る
そして彼女は一人であの時のうどん屋を偶然見つけ久しぶりにあの時のうどんを食べる。そしてそのうどんを食べながら男の人に「あーやっぱりうどんといえば〇〇じゃなきゃだめだわ」みたいにお前じゃなきゃだめだって思われてなかった思われたかったなってことに気づき泣く。泣きながらうどんを食べる
このシーンめっちゃわかる
私も同じこと思ったことある・・・
彼女はうどんを涙ながらに食べた後に今度こそそういう男に出会うのだと強く立ち上がったので本当応援したい。
好き、の先にあるもの
すれ違う人
空港のロビーで偶然学生時代の先輩にありうれしすぎて思わず前のめりでこの後どこかでお茶しましょうよーって誘ったら先輩は明らかに困惑してそうだった
その後しばらくして、そういえば、その先輩と全然仲良くないというかどっちかというとその先輩が苦手だったことを思い出す。
そう苦手だったのにその後偶然町であったときに弱っていた先輩が飲みにつれ行ってくれてはじめて腹をわって話せてなんかそれが記憶に残ってて思わず声をかけてしまっただけだったということを思い出す。
だからといって苦手な感情はもどらずもしかしたら学生の時も何かのきっかけで先輩と本当に仲良くなれていたかもしれないなーっと思うところで終わり
不完全なわたしたち
それぞれの場所が題名の超短編が何個か収録
どれもあーなんかありそうだなーって話だったけどこれ!といったのはなかったかなぁ
消えない光
アルバイトをしている彼と結婚を決めた主人公。
おもちゃの指輪を婚約指輪として指につけていたが、それを母に買い直すように言われ傷ついている。
彼は逆に彼女の両親から結婚について色々条件をだされたことで「結婚とは好きとかいっしょにいたいとかのもっとずっと先にあるものなんじゃないかと、その先にある正体を実は誰も知らなくてだから指輪や新婚旅行なんかをするんじゃないかな」と考え逆にちゃんとした指輪を彼女に買ってあげたいと考えている
そしてもう一つのカップル。
2人は結婚してお互い仕事をしながらも何事も全部話し合って家事も完全に分担して生活していた。忙しくてすれ違いの生活をしながらもそれでうまくいっていたはずだったが夫に別れたいと言われる。そして改めて二人の生活を振り返ると彼女もそれもそうだなと思ってしまう
妻は最後に指輪も買わず式も新婚旅行もしなかった自分たちに結婚していた証として指輪を買いたいと夫に伝え2人は仲良く離婚指輪を買いに行く
この二組が最後に同じ指輪売り場で遭遇し
お互いいいカップルだなって思っているシーンで終わり。
指輪や式や新婚旅行はその時の幸せの証としてではなく、その後夫婦のきずなが危うくなったときに思い出して、その危機を乗り越えるためにするものっていう感覚はわかるな。
いやこんなことを言う女性は全然純粋じゃないだろう。