ぼっけえ、きょうてえ  岩井志麻子

内容(「BOOK」データベースより)

―教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岩井/志麻子
1964年、岡山県生まれ。99年、「ぼっけえ、きょうてえ」で第六回日本ホラー小説大賞、第一三回山本周五郎賞を受賞。『岡山女』が直木賞候補になる。独自の世界でホラー文学を開拓している注目の作家である

怖いというよりどこか悲しい

めっちゃ怖い の岡山弁「ぼっけえきょうてえ」が作品の題名。

でも怖いといっても身の毛もよだつという内容ではなくじっとりとした怖さというかいや怖いというよりむしろ悲しいというか、でも実際この場にいたらめちゃくちゃ怖いんだろうな・・というような感じの内容です。

そして、普段テレビでお茶らけている志麻子さんちゃんとした作家なんだと気づかされる一作です(失礼)文章力がすごい。ちょっと不思議な世界観に引き込まれました。

どのお話もちょっと昔が舞台だからこそ 

ぼっけえ、きょうてえ

岡山の遊郭で働く女郎が主人公。少し顔の半分がゆがんだ女性が寝れない客にせがまれて自分の身の上話をするという内容。

女郎は貧困な村のさらに貧困な家庭で生まれる。母親の職業は間引き専門の産婆。

間引きに忙しすぎて自分が妊娠していることに気づかずに生まれてきたのが女郎だった。

しかも双子。

仕方なしに川に捨てに行ったが、二日後まだ生きていたので仕方なしに育てられた。

そこからはひもじいという地獄と父親に性的虐待をされるという地獄とを交互に体験

興味津々だった客もだんだんと気味悪がりながらも聞き進めていくと。姉が・・・。

密告函

岡山県でコレラが流行していて、村役場は密告函を設置する。

主人公はその密告函に書かれていたお宅に訪問してコレラになっていないかをチェックする役回り。

函の中にはいつも祈祷師の娘のなまえお咲の名前がある。

主人公も祈祷師が明らかにコレラっぽい症状だったことを知っているが、彼女がお金次第でいやお金がなくても体を開くということが有名だったため、調査に行くことを躊躇していた。

が、結局一目でお咲にひかれてしまい、体の関係を持ってしまう。

そこからはひたすらお咲の家に通う。

妻はいつもと変わらない。

変わらないと思っていたが・・・

仕事をほって家にお金もいれず女にいれあげていたらそりゃ気づくでしょうが・・。

あまぞわい

潮が引いた時にだけ顔を出す浅瀬を岡山では『そわい』といい、普通は名前なんかつけないが、あの場所のそわいだけは、『あまぞわい』とよばれている。

そのゆえんは尼バージョンと海女バージョンの言い伝えがある。

女が男を救い亡くなり亡くなってからも男を思って泣くバージョンと男を恨んで泣くバージョン。

主人公の夫は主人公をすぐに殴るがそれでもこの言い伝えを男を思って泣くほうを信じているような男。

女はこの田舎にやってきたことで居場所を亡くしているが、足の悪い男と出会いそこに自分の居場所を発見する・・。

依って件の如し

シズと利吉は村で疎まれる存在

シズには色々なものがみえるが利吉に言われた通り口に出すとダメだと思い黙っている。

利吉はシズを養うために日清戦争に志願したためシズは住み込みで働くことに。

そこでは人間とは扱ってもらえず牛と一緒に寝泊まりする。

ある日そこに鎌を持った盗賊が入ってきて一家は滅多切りにされる。

生き残ったシズのもとにようやく利吉がかえってきて二人はともに暮らすことにそこでシズはこの惨殺事件の真実に気づく



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