夏の裁断 島本理生

内容(「BOOK」データベースより)

小説家・萱野千紘の前にあらわれた編集者・柴田は悪魔のような男だった―。過去に性的な傷をかかえる女性作家。胸苦しいほどの煩悶と、そこからの再生を見事に描いた傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

島本/理生
1983年生まれ。15歳のときに「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説、年間MVPを受賞する。2001年「シルエット」で群像新人文学賞優秀作となりデビュー。03年「リトル・バイ・リトル」が芥川賞候補に。高校生候補として話題になる。同作で野間文芸新人賞を史上最年少受賞。15年『Red』で島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

あらすじ&感想

こんな恋愛したいなーっとかこんな恋愛したなーっというそういう共感で恋愛小説の良さをはかることが多かったけど、この小説は「なんでこんな人に振り回されるの」とイライラしながらも面白い小説でした。

主人公は女流作家。母親がスナックを経営していて、小さいころにそこの客にいたずらをされた経験があり、それ以降なにかされたときに「自分に否があるんじゃないか」と考えてしまうように。

ある日出版社の男に出会う、彼は強引に自分に言い寄ってきてはさらっと拒絶するということを繰り返し主人公を狂わす。

そしてついに彼をさしてしまう。とはいえ大した傷にもならなかったので(ナイフでもないし)大事にもならずに済んでしまった。

そして主人公は夏の間、亡くなった祖父の家で祖父が残した本を自炊する作業をしながら過ごす。

という内容

そしてその後他の男たちによってちょっとずつ救われる話が後日譚のようにのっていて4部作になっています。

この柴田っていう男は「なんでこんな男に?」って感じの男だし、主人公もなんか見当違いと感じるほど傷つきまくってるしまったく共感できないんだけど、でもそういうのも含めて人間ぽくて。あと本を読むことによって自分のもやもやした感情がうまく言葉に置き換えられていてすっきりするということがよくあるけれど、これはもやもやした得たいの知れない感情をそのまま書いてあって、そのことが過去の説明できない感情や過去のはたからみたらあほみたいなことで悩んでる自分を思い起こさせて私的にはとてもよかった

でも人には薦めづらい作品。表面だけかすめとると単なるメンヘラ小説ぽいし。




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