たかが殺人じゃないか 辻真先

内容(「BOOK」データベースより)

昭和二四年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校三年生になった。旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒五名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった―。そこで巻き込まれた密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件!二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして…。著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

辻/真先
1932年愛知県生まれ。名古屋大学卒。NHK勤務後、『鉄腕アトム』『サザエさん』など、アニメや特撮の脚本家として幅広く活躍。72年『仮題・中学殺人事件』でミステリ作家としてデビュー。現在でもTVアニメ『名探偵コナン』の脚本を手掛けるほか、大学教授として後進の指導にあたっている。82年『アリスの国の殺人』が第35回日本推理作家協会賞を、2009年に牧薩次名義で刊行した『完全恋愛』が第9回本格ミステリ大賞を受賞。19年に第23回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

あらすじ&感想

昭和24年が舞台

ミステリ作家を目指しているカツ丼こと早見勝利は、戦後の学生改革により高校3年生の1年だけ男女共学で高校生活を送っている。

部活は推理小説研究会。同じ部屋に映画研究会も入っていて、二つの部活は合宿旅行をすることに。

そこで殺人事件に遭遇。しかも密室。

さらに、文化祭準備中にはバラバラ殺人事件も起こり・・・。

という内容。

コナン君とか金田一少年的なトリックを用いる系の小説です。

正直最近はどうやって密室に?という謎解き的な小説より、人を殺さなければならない背景に何があったのか等に重点を置いた小説を読むことが多く謎解き小説か・・くらいのテンションで読み始めたのですがめちゃめちゃ面白かったです。

面白ポイントその1 戦後すぐの日本を体感できる。

舞台は昭和24年の名古屋。作家の辻真先さんは1932年生まれでその時にちょうど高校生くらい?

ということでとっても描写がリアルです。

戦争中のことを描いた小説がよく読みますが戦後すぐが舞台の小説をあまり読む機会がなくて、このころがどんな感じだったのかを私はこの小説でほとんど全部初めて知りました。

学制改革前は 小学校6年+中学5年 だったのがこの年から小学校6+中学3+高校3になったってことも主人公である風早勝利はこのまさに変わったことにより1年だけ高校3年だけ高校生活を送ることになった話を読み始めてしりました

そして急に男女共学になったことも。

それまではなんと小3から別学。

それをいきなり男女共学でって言われるって・・。

コロナ禍で4月はじまりを9月に変更するか否かで大騒ぎしてましたがそれどころじゃない改革が突然行われていたとは・・・。

で、その時の歴史的な事実だけでなく実際の男女がどんな風に思って1年を過ごしてたかってのがこの小説では知ることができそこが私的にはとっても面白かったです。

面白ポイントその2 ミステリーとしても面白い

トリックもすごいんですがその犯罪を犯した理由もそして登場人物の背景も面白かったです。

そして全体を通して本を書いている主人公という感じにしあげているのが今風。

昔を舞台にした小説だけどその時代に書かれた小説ではない今っぽさがとっても読みやすくて面白いです。



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