【あのバスに乗らないといけない5股の星野】バイバイブラックバード 伊坂幸太郎

今日の一冊

内容(「BOOK」データベースより)

星野一彦の最後の願いは何者かに“あのバス”で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。特別収録:伊坂幸太郎ロングインタビュー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

伊坂/幸太郎
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞を、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。08年には『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 登場人物

星野一彦 

バスで連れていかれることが決まっている付き合っていた5人の女性に別れを告げに行く

繭美

バスに星野が乗るまでの監視役190cm200kgでバレンシアガを着こなすブロンド女性

彼女の辞書に「常識」「気遣い」「マナー」「悩み」「色気」といった単語はない

廣瀬あかり

1人目の恋人 いちご狩りで出会う

霜月りさ子

2人目の恋人。バツイチ小1の息子がいる

如月ユミ

3人目の恋人。侵入が趣味

神田那美子

4人目の恋人。ポケベルのように0840をみるとおはよーと訳す数字に強い。

有須睦子

5人目の恋人。女優

あらすじ

あのバス」に乗せられることになっている星野と、彼をバスに乗せるまでの監視をする繭美

※「あのバス」が向かうところはそれはそれは恐ろしいところということしかわからず。そのバスにのせる組織についてもよくわかってないんだけど、とにかく怖い組織を怒らせてしまいバスにのってどこかに連れて行かれることになっている

星野はバスにのるまえに付き合ってた5人の女性にきちんと別れを告げたいといい、繭美をつれてそれぞれの女性に別れを告げる・・・。

星野と星野と付き合っていた5人の女性との別れ話の連作短編集でした。

別れ話の連作短編だけどものすごく楽しい。面白い。

ここからネタバレ。

5人の女性の別れ話に付き合ってるうちに繭美は星野を助けたくなる。最後はバスでどこかへ向かう星野をおいかけるためにバイクで・・・・(ここでバイクのエンジンがかかるかどうかわからないところで話が終わる)

感想

確実にせっぱつまった状況なのにどっかひょうひょうとしていている星野と、彼を『バス』に送り届ける役目の繭美との会話がいかにも伊坂さんって感じで面白い
そしてどの登場人物もみんな魅力的。

よく考えると5人と同時に付き合ってる星野って女性からしたら最低なのに嫌になるどころか、繭美が考えたように怖い組織からの星野救出作戦を応援したくなりました。

(でも実際付き合った人が星野さんのようにいい人でも5人同時に付き合ってたらいやだけど)恐るべし伊坂ワールド。

繭美も繭美で魅力的(私の中では安藤なつのイメージ)
最後はかっこいいところを見せるところもなかなか素敵。

他にも数字にこだわる女性の整理番号のくだりや、「ヤマタノオロチというか、ゴマタノホシノだよ」っていうセリフが好き。


楽しく読める小説です。

因みに太宰治の「グッド・バイ」は何人もの女性と交際ている編集者が付き合ってる女性たちと別れようと思い、知り合いの美人に奥さんのふりをしてもらい別れ話をしにいくというお話です。

この本を読んだ人にはこんな本がお勧め

伊坂幸太郎の『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために!という題名

太宰の未完の作品「グッドバイ」も収録されています。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です