今日の一冊
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
恩田/陸
1964年、宮城県生まれ。92年、小説『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞および第14回本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
内容(「BOOK」データベースより)
大ベストセラー『蜜蜂と遠雷』、待望のスピンオフ短編小説集!大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。入賞者ツアーのはざま亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノの恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけになった忘れ得ぬ教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。ジュリアード音楽院プレ・カレッジ時代のマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏へ天啓を伝える「鈴蘭と階段」。巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。全6編。
この本を1分で説明すると?
蜜蜂と遠雷のスピンオフ作品。
「祝祭と掃苔」あの大会の後の主人公3人が綿貫先生の墓参りをする話
「獅子と芍薬」コンクールの審査員だったナサニエルと三枝子元夫婦と出会った時の話
「袈裟と鞦韆」菱沼が課題曲「春と修羅」を作るきっかけになったお話
「竪琴と葦笛」ジュリアード音楽院時代のマサルの話。
「鈴蘭と階段」ヴィオラ奏者の奏の話
「伝説と予感」蜜蜂と遠雷のプロローグの直前。巨匠ホフマンと塵が出会った日の話
蜜蜂と遠雷を読んでから読むのを強くお勧め。私的には前作にでてきた明石さんのスピンオフ作品を読みたかった〜
この本の最後の作品 伝説と予感から 蜜蜂と遠雷 そして この作品の最初の祝祭と掃苔 につながってます。
あらすじ&感想
スピンオフなので前作ほどの感動はないけどあの時のメンバーにもう一度会えるおまけとして蜜蜂と遠雷が好きな人なら楽しめる作品
祝祭と掃苔
蜜蜂と遠雷の3人がコンクールの後に綿貫先生のお墓に墓参りするお話。
掃苔っていうのはお墓参りのこと。お墓の苔を綺麗に掃除するから来ている言葉です。
知らなかったわ。まだまだ知らない言葉たくさん
この後3人はコンサートツアーとしてパリに向かう予定です。
コンクールの描写でなぜかこっちまで緊張しながら読んだ蜜蜂と遠雷とは違い穏やかな気分で読めます。
3人もいきいきと爽快な感じ。
獅子と芍薬
コンクールの審査員だったナサニエルと三枝子元夫妻の出会ったことのお話。
髪の毛多くて獅子みたいだったナサニエルと芍薬が描かれた着物を着ていた三枝子からこの題名になっています。
コンクールで1位をとればホフマンに弟子にしてもらえると約束をとりつけた二人はコンクールに挑むも二人して2位。悔しくてわんわん泣いてしまうという最悪の出会いだったにもかかわらず、ナサニエルはその後三枝子の演奏のすばらしさと音楽の世界で生きていくことを考えてしたたかに行動する強さを知り三枝子に恋に落ちる。
そしてその後結婚・離婚を経験して30年の時が過ぎた。
久しぶりに会う三枝子に出会った記念日(上述のコンクールの日)としてプレゼントあげるナサニエルの気障っぷり
惚れてしまうわ。こういうの。
袈裟とブランコ
コンクールでの課題曲「春と修羅」を作曲した菱沼忠明の春と修羅をつくるきっかけとなった物語。
菱沼がかつて作曲の指導をした小山内健次。
彼は卒業後岩手でホップ農家をしながら作曲を続けていて、菱沼はそれをずっと彼から送られてくる年賀状を通して応援していた。
ところが突然彼がくも膜下出血で亡くなってしまう。
菱沼は彼のホップ畑を見て、彼が生前好きだった宮沢賢治の詩のタイトルだった「春と修羅」で曲を書き、それを二人のケンジに捧げることにした
というお話。
静かに心ジーンとくるいい話。
竪琴と葦笛
ジュリアード音楽院時代。
マサルはミハルコフスキーの指導を受けているがどうもしっくりこない。
ある日、ナサニエルにJAZZバーに連れていかれ他の音楽に触れ、さらに他の楽器も演奏すればいいといわれ、ピアノの練習の合間にトロンボーンも演奏することになる。
そしてそれが自分のピアノにとてもいい影響が出ることに気づいたマサルは、ミハルコフスキーではなくナサニエルの弟子になりたいと考え・・・
コンクール前日にナサニエルと外出してたくさん歩き風邪をひきコンクールを台無しにすることでミハルコフスキーの方から自分を切ってもらい無事にナサニエルの弟子になれたという話。
意外と策略家。
鈴蘭と階段
ヴァイオリンからヴィオラに楽器を変えた奏では今だに自分にぴったりなヴィオラに出会えていない。
悩んでいたところにパリにいる亜夜と塵から電話がかかってきて自分にぴったりなヴィオラを見つけたといわれる。
ピアノ専攻の二人に自分に合うヴィオラが見つけられるのかと不審思う奏だがそのヴィオラは・・・・
結局それが彼女の運命の楽器でした。
それにしてもこういう才能がある人って同じ人間とは思えないなぁ・・
伝説と予感
塵にホフマンが出会った人のお話。
ホフマンが友人の家にいると調律もろくにされていないピアノを弾く音が。
聞こえてきたのはホフマンが昨日弾いていた曲で、その曲をもうまねて再現できていることに驚き扉をあけるとそこには小さい男の子がいて。
いやもう天才すぎ!!
この本はこんな人におすすめ
- 蜜蜂と遠雷を読んではまった人
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