内容(「BOOK」データベースより)
主婦の小浜芳美は、新宿でかつての同級生、一柳貴和子に再会する。中学時代、憧れの男子を奪われた芳美だったが、今は不幸そうな彼女を前に自分の勝利を噛み締めずにはいられない。しかし―。二十年後、ふと盗み見た夫の携帯に貴和子の写真が…。「全部私にちょうだいよ」。あの頃、そう言った女の顔が蘇り、芳美は恐怖と怒りに震える。
著者について
一九六五年東京都生まれ。札幌育ち。二〇〇七年「散る咲く巡る」で第四十一回北海道新聞文学賞を受賞。『完璧な母親』で話題に。著書に『夜の空の星の』『途上なやつら』『いちばん悲しい』『熊金家のひとり娘』『玉瀬家、休業中。』がある。
あらすじ
前回読んだ本↑が面白かったので別の本
「きわこのこと」という名前で最初は出版されていた本の改題バージョン。
きわこという名前の女性とかかわった人達の人生を現在からさかのぼる形で描かれています。
1章 2015年2月 衝突事故の男性 死因は窒息死
大瀧という男性78歳が交通事故で死亡する。死因は窒息死。運転中に巻きずしをほおばりのどに詰まらせたのが理由です。
この男性は死亡前に行きつけの飲み屋である女性多恵に出会っています。多恵は大瀧の家に住み込みかつてししゃもなどをうっていた1階の店舗でお店をしたいと甘え彼からお金を援助してもらっています
資金援助を狙っていた甥夫婦や飲み屋の常連たちは騙されていると心配していますが、大瀧はそれでも幸せを感じています。
多恵はきわこに少し似ていると感じます。
大瀧はかつて女と住んでいたのですが、その時の女の子供が喜和子でした。きわこは修学旅行のお金を大瀧にもらうために体を差し出そうとします。今までの男の人はみんな喜んだよ?そういうきわこに大瀧は「そんなことをしなくてもいい」といってあげます
その後きわこはある日突然母親と一緒に出て行ってしまいそれ以来会っていません。
多恵は過去におなかが痛いと言っている子供を残して遊びに行き子どもを殺してしまったという過去があり、その子供が好きだった馬をみに旅をしている途中で大瀧に出会ったという話をします。
多恵はお金のためではあるものの大瀧をそれなりに大切にしていて二人は結婚することになりました。
そして結婚届を出す途中に大瀧は事故でなくなっていたのです。
2章 2013年1月 超熟女専門売春クラブ摘発
53歳だった芳美は派遣切りに会います。夫と離婚して1人暮らしのため生きていくために選んだ次の仕事は売春でした。
芳美はきわこの中高時代の同級生でした。告白されていた男子への返事をじらしていたらその男子をきわこに奪われたころからきわこを憎んています。
そしてその後ずっと会うことのなかったきわこが次は夫と不倫していました。
それを知り芳美はすべてをすてて離婚しました。
芳美は売春を紹介してくれた派遣先が同じだった三筋に負けたくないと必死にランキングをあげ、売春をやめた三筋にランキングで勝ったことで自信を持ちます。
同窓会にも参加して若く見えるといわれうれしくなります。
でもそこできわこがすでに死んでいるということを知ります。
3章 2012年7月 他人のベランダで暮らしている男逮捕
公営住宅延べランダで1カ月わたり暮らしている男が逮捕される。
逮捕された男布施はわけのわからないことを供述している。
布施はずっとある男を殺そうとしていた。その男は鍵井。見つけた時にはすでに末期のがんで会っても話すことはできずそのまま死んでしまいます。
この布施が2章の芳美の元夫。パートとして自分の会社にきたきわこに惹かれ、彼女と子ども2人を残して夫が死んだあとは生活に困っているきわこに近づき急速に仲を深める。
そのうち(不倫に気づいた)芳美から離婚を言いだされ、即離婚。
ただきわこは「謝金とりに追われている」らしい。その男が鍵井。
鍵井をきわこのために殺そうとしたがそのまま鍵井はいなくなる。
そしてきわこも死んでしまう。
きわこが死んでから会社もやめてふらふらしていた布施のもとにある日敦子という女性が現れる。彼女もまた借金を背負っていて、布施は彼女に少なくなった貯金の全部を渡してしまう。
その後借金とりに追われていると電話でいわれた布施は今度こそ借金とりを女性のために殺そうと敦子の部屋のベランダに侵入し・・・
4章 2010年7月 パトカー追跡中電柱に衝突 女性渋滞
速度違反でパトカーに追跡されていた車が電柱に衝突 運転していた女性香織が意識不明の重体に。
香織は自分の外見に自信がなく、見合いで出会った男と即結婚を決める。
夫には連れ子(亡くなった妻との子)がいてその後二人の子供も産まれる。
香織は器量のよい和香にどうしても愛情を抱けない。冷たくしたり理不尽に怒りをぶつけていたいた香織はある日ついに和香を殴ってしまう。
けれど和香は「このことはだれにも言わない」と香織に言う。
その言葉をきき香織は「私はあなたの本当の母親ではない」と伝える。
この言葉がのちに彼女の心の中で憎しみとしていつか彼女は自分を殺すんじゃないかと香織は思う
この間偶然あった同級生(中学の先生)が自宅で母親を殺した息子をかつての教え子だと話していて その母親が継母だったという話が頭から離れない。
香織は子どもを同居を始めた義母にまかせたうえで二人に睡眠導入剤をのませ和香を縛り車のトランクにつめて家をでる(そしたら義母に任せていたと責任を押し付けることができる)
するとパトカーに追跡され・・・
5章 2009年12月 母親に強い恨み?殺人容疑で長男逮捕
自宅で母親を殺した男性が逮捕 殺されたのは母親
この殺されたのがきわこ
美亜は高校卒業後衛と同棲する。衛には彼女がすでにいるが最近はよく自分の部屋にいる。
時々母親がくるのが不満。母は継母で兄には干渉しないのに自分にだけうるさく干渉してくる。
継母は「男の人は与えるふりをして奪う。信用してはダメ」というがその意味はイマイチ美和にはわからない。
実母は小3の時に突然消えてそれからしばらくして継母がやってきて、そして高3の時に父は死んだ。
ある日衛に彼女と別れないのかと勇気だして聞いたところ彼女に借金が1300万円あることを告げられそして暴力も振るわれた。
その後DVをするようになった衛。でも美和は離れられない
ある日兄が変な男が家に来ると美和に行ってくる。その男に継母が父親を殺したのではないかといわれたといってくる。
でも美和はそれどろこじゃなく話を打ち切る。
ある日衛が不注意でこどもをひいてしまいそのまま逃げてかえってきてしまったと美和に告げる
ニュースでは3人の小学1年生がなくなったと報道されていて衛の名前もすでに報道されている。
彼女がいると衛は言っていたが、じつは妻とそして子供もいて
美和はひき逃げ事故よりもその事実にショックを受ける。
衛はこのまま自首してくると言い出し、美和は自首するなら監禁されていたと警察にいうというと「そんなことはどうでもいい」と言われてしまい。美和は継母に電話する。
継母は一緒に逃げよう迎えに行くといってくれる
でもその言葉を継母が話しているのを聞いた兄が男と継母が逃げると勘違いしてそのまま母を殺してしまう。
最終章
大瀧商店を訪ねる男。
ここには身寄りがいないといっていた継母が「自分の父がいるかもしれない」と言っていた場所。
いってみるとそこには多恵がいた。継母のことを多恵に聞くが多恵は当然知らないと答える。
5年前になくなったことを「かなしいね」といわれるが男は悲しくないと答える。
最後の記事
2015年2月 20代から40代の女性と 60代から80代の女性二人の白骨死体が見つかる
(これはきわこの母ミツと美亜たちの本当の母)
解説
きわこを通した色々な人の人生をえがきながらきわこの人柄を浮かび上がらせる方式の本
でも時系列は逆だけどその中にでてくるきわこは徐々に年を取ってくるという変わった方法でなかなかややこしかった
結局 小さいころから母ミツは性的にルーズで娘であるキワコも母の男が変わるたびに相手の男に性的虐待を受けていた。そんなキワコの将来の夢はただ子どもと一緒に幸せな家庭を気づくこと。
最初の章の男大瀧さんはそんな中で唯一自分に手を出さなかった血はつながっていないが本当の父ような存在だった
その後中学に入ってからは外見とそしてにじみ出る色気からからモテる。なので同級生でかわいかった芳美に嫉妬される。
キワコは子どもが産めないからだだったが山田という連れ子が二人いる男と結婚し子どものいる家庭をついに手に入れる。(この家庭を奪うために母ミツとそして母ミツのもとで働いていた山田の本妻を殺している)
が、山田は死亡。その後パート先の男性に言い寄られる(これが芳美の旦那)。で山田の古くからの友達鍵井には山田を殺したと疑われる。
この鍵井のことを芳美の元夫はキワコと付き合っていたのか?と疑ってるが実は鍵井は山田と恋愛関係にあったんだろうと思う。そのため山田の妻の処分はもしかしたら鍵井が手伝ったりしたのかも?なので山田は偽装再結婚をキワコとすることでどうどうと外で鍵井との時間を楽しめ、キワコは自分をささげなくても子供を得ることができた。
だが、山田自身がなくなり鍵井には山田妻か自分の母の殺害の件で脅されるようになったんだろう
そして山田の娘がくずのような男につかまりそれを助けるために「逃げよう」と電話で話しているところを息子衛が聞いていて義母に母以上の愛を感じてしまっていた衛に殺されてしまう。
殺してしまった衛は懲役を終えて義母が過去に話していた父親がいる大瀧商店を訪れる
という時系列になってる
感想
ということで結構ややこしいうえに想像でしか埋めれない箇所があり難しかった
ただきっと人を殺しているであろう(もしくは依頼したであろう)キワコの生涯のそのすべてが悪女ではなく、時には普通のお母さんだったりする時期がちゃんとあってそのあたりがキワコという一人の女性がよりリアルな存在として感じ取れてよかった。
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