内容(「BOOK」データベースより)
新聞社で働く柳宝子は、虐待を理由に、娘を元夫に奪われていた。ある日、21年前に死んだはずの父親が変死体で発見され…。遺留品には猟奇的殺人事件の大量の記事の切り抜きと娘に宛てた一通の手紙。「これからも見守っている」。宝子は父の秘密を追うことになるが、やがてそれは家族の知られざる過去につながる。一方、事件を追う刑事の黄川田は、自分の娘が妻の不貞の子ではないかと疑っていた。
著者について
1965年東京生まれ札幌育ち。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞を受賞。文庫『完璧な母親』が話題に。その他著書に『いちばん悲しい』『玉瀬家、休業中。』『ある女の証明』他多数。
あらすじ&感想
新聞社で働く主人公宝子の元に21年前に死んだはずの父親{育ての親)が変死体で見つかったというしらせが入ることから物語は始まります。
21年前に亡くなった時は火事で顔等では判別できなかったものの歯の治療跡で確かに父だったはずのあの死体はじゃぁ誰だったのか?
そして21年間生きていたのに父はなぜ自分の元に現れなかったのか?
その謎を探るという形で小説は進んでいきます。
父が残した遺留品には「娘をこれからも見守っている」というメッセージとそしてつい最近起きた現代の阿部定事件と言われる事件の切り抜きが入っていて。
そして元カレで妻の不倫を疑い妻と子どもを愛せない警察官・兄と違い自分だけ母親に愛されなかった過去をもつフリーのライターそして自分の子供をわがままをいうたびに暗い部屋に閉じ込めて外にでかけてしまい虐待を理由に離婚されている宝子のそれぞれがこの事件の謎を追うというストーリー
複雑だけど読みやすくて面白かったです。
そして親子の在り方をとても考えさせられました。
暗い部屋に閉じ込めてあなたなんていらないと娘にいい家を出るなんてことはさすがにしたことがないですが、子供達に感情的に怒ったことは幾度となくあり、夫は子どものためといいながら実家のある北海道での転職を宝子の意見も聞かずに勝手に決めてついてこない宝子を「子供が大事じゃない」と決めつけてることなどを考えると宝子の気持ちが全く分からないどころか共感さえして胸が苦しかった。
そして小3でおばあちゃんと父親にも気を使いながら母と面会しそして新しい母のことを気に入ってることを母に知られないようにしてる子供の健気さと負担にも心が痛くなった
でもなにより印象に残ったのはネタバレすぎるので詳細は書けないけど現代の阿部定事件の被害者の実母。ああいう人が一番怖いしそして実在してしまうんだろうな怖い。強い悪意よりずっと怖い。
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