【本を通して遠くに旅行】チーズと塩と豆と 角田光代他

内容(「BOOK」データベースより)

あたたかな一皿が、誰かと食卓で分かちあう時間が、血となり肉となり人生を形づくることがある。料理人の父に反発し故郷を出た娘。意識の戻らない夫のために同じ料理を作り続ける妻。生きるための食事しか認めない家に育った青年。愛しあいながらすれ違う恋人たちの晩餐―。4人の直木賞作家がヨーロッパの国々を訪れて描く、愛と味覚のアンソロジー。味わい深くいとおしい、珠玉の作品集。

感想 ネタバレ

なんと豪華なアンソロジー4人全員直木賞作家です。

舞台はヨーロッパといっても洗練された都市ではなく、感想した土の匂いがしそうな村が舞台

  • 角田光代さんはスペイン
  • 井上荒野さんはイタリア
  • 森絵都さんはフランス
  • 江國香織さんはポルトガルが舞台になっています

その土地の料理もでてきていいです旅行した気分になれます

それもツアー旅行じゃないゆったりと田舎の方に足を延ばした旅行。

神さまの庭 角田光代

ここでは古くから皆で集まって食事会をする風習がある。

ある日、母が好きな料理が並べられて行われた食事会。そこに母はいなかった。

父はそこで母が癌で余命があとわずかだということを告げる。

驚きながらも食事をし続ける親族に嫌気がさした主人公はそのまま家を出る。

そして都市バルセロナの大学に進学し、世界中を旅する。

あの小さな田舎ではとうてい知ることができなかった広い世界。

世界を旅しながら料理をするようになり、その経験から今は各地の難民キャンプで炊き出しを行う仕事に就く。

そして食事という幸せの記憶が1回でも多く残るように願うようになる。

幼くてそして純粋だからこそ父たちが母の癌のことを親族に話ながら食事をすることが許せなかった主人公が、色々経験して、これから辛いことが待っているなら最後に楽しく食事をしてその幸せの記憶残したいという気持ちがわかるまでの流れがとても自然でいいお話でした。

理由 井上荒野

30才年上の先生と結婚したアリダは彼と一緒に山の中に住んでいた。

でも彼はいま病院で眠ったまま。

今でも彼を愛する理由は無数にある。でも理由が無数になるということは一つも理由がないのと同じではないだろうかとなる話…。

ドリカムの歌で

これからもう恋をしなければ 

この想いは誠実と呼ばれるの?

という歌詞があり、まだ学生だったころの私は幼い恋心をこれから恋をしないことで本物だと認めて欲しいと願っていたことを思い出しました。

その1年後には別の恋をしていたような気もしますが笑

プレノワール 森絵都

フランスのど田舎育ちの主人公。

田舎にはたくさんの風習や決まりがありそれが嫌で母とも絶好して家を飛び出した主人公は、パリで二つ星レストランのシェフになった。

ところが主人公は母の死後、結局そのど田舎に戻り、その地方のものを使った暖かい夕食付の宿をその地方出身の妻と一緒に経営することになる。

これも最初の作品と同じ展開。

小さい頃に当たり前だと思って育っていた世界が、思春期あたりで、とても古く感じたり保守的なところや世界の狭さに嫌悪感を感じて、嫌になり外に飛び出し、ある程度外の世界を見ていい年になると、当時は気づかなかった田舎の良さに気づいて戻りたくなる。

って実際に戻るかどうかなどは別に正常な成長と言えそう。

都会のクレープに比してここブルターニュ地方ではしょっぱいガレットが出てくるんだけど、それがとてもおいしそう。

アレンテージョ 江國香織

誰にでも人懐っこいマヌエルと彼に嫉妬ばかりしてしまう相方のルイシュ。二人は田園へ旅行に出かけている。

結末が特にないthe江國ワールド。



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