内容(「BOOK」データベースより)
「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。
感想
いじめをテーマにした短編集
ワニとハブとひょうたん池で
女子高生がある日意味なくいじめにあう話。
高校生が主人公なのでいきなりハブにされた(こんな言い方今でもするのかな?)のは自分が悪いわけじゃなくたまたまだということも理解している。
でも、時には死にたくなったりもしてその辺がリアル
ナイフ
いじめにあってる息子を守ってやれない父が主人公
子供が産まれてきた時に父親が『偉くならなくてもいい。賢くなくてもいい。金持ちでなくてもい・・・(中略)ただ、生きることに絶望するような悲しみや苦しみには決して出会わないように』
と願ったシーンがとても印象的。
キャッチボール日和
学校ではいじめにあい、家では息子に強さとたくましさを父親に強要される男の子大輔の幼馴染の女の子が主人公。
エビスくん
病院で重い病気と闘う妹をもつお兄ちゃんが主人公。
自分がいい子なら神様はご褒美に奇跡を起こしてくれると信じていていつもいい子でいるこを心がける毎日。
そんな時、意地悪な「エビスくん」が転校してきて主人公をいじめるようになる。
でも、やり返したりはしない、いじめながら親友といってくるエビスくんのことも主人公は好きだから。
ある日妹に「エビスくんは神様の子孫かもしれない今度連れてくる」と約束してしまいその約束は果たしたいと悩むお話。
幼い主人公の妹やエビスくんや浜ちゃんやその他すべてのものに対する愛情があふれていて読んでて思わず涙した。
とてもとてもいい話。
まとめ
いじめの話もいつの間にかいじめられる子供の親に感情移入しながら読むようになっているのでいじめの実態については、これが今のリアルなのかそれとももっと現実はひどいのかわからないけど
それでもときどき胸がキューっと締め付けられた。
でもそれに立ち向かう子供や親の心理描写はさすが。
この人は家族を書くのが本当にうまい。
エビスくんは中でもお気に入り。小さい時も色々色々それはもう大人が考えてる以上に色々考えて
行動してたなーっと思いだした。こんな風に子供の心を書くことができるなんてすごい。
ただ、前回と同様これを子供に親が勧めるのはなかなかわざとらしくて難しいなぁ。
ということで☆は3つ
私の場合、絵本を卒業して大人の本を読めるようになるまでの間あまり本をを読んでいない時期がありました。
それは子ども用の小説があんまりおもしろくなかったから。
もちろん面白い本もあったけど、ちょっと幼稚だったり、こういう大人になってほしいという大人の願いがこめられすぎてる本が多くて・・・
大人になってからも自分の子どもに勧めするために何冊か読んでみたけど今も大人の小説に比べると面白い本が少ないように感じる。
ってことで逆に大人が楽しめる小説の中でこれなら小学生でも読めそうというのを逆に見つけて行くことにしました。
題して「子供も読める大人小説」