今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
著者について
著者 海堂 尊(かいどう たける)
1961年千葉県生まれ。現在は勤務医。
第4回『このミス』大賞に選ばれた『チーム・バチスタの栄光』(2006年1月12日
発売)が25万部のベストセラーに。
ネタバレありのあらすじ
ジェネラルルージュの凱旋と同時進行のお話です。ジェネラルルージュの凱旋で最初に歌手の冴子が大量吐血して~というシーンがありましたが、それはこっちの話につながりました。
今回は医療ミステリーにファンタジー要素が加わった小説になっています。
東城大学附属病院の忘年会の帰り、小夜は同僚の看護師翔子(ジェネラルルージュの凱旋に出てくる看護師)と歌を歌いながら一緒に歩いていたところ、水落冴子という歌手のマネージャーが歌っている小夜の声に注目し、今から冴子のゲリラライブがあるから来ないか?と声を掛けます。
2人は普通は手に入らない冴子のライブということでライブを聞きに行きいますが、ライブ終盤に冴子は吐血して救急車に。同乗した翔子が東城大学の救急センターを指定し冴子は運ばれて行きます。
冴子は肝硬変で末期状態でした。東城大学の病棟は現在どこも満室でしたが田口が夜勤していた神経内科のみ空き室がありそこに冴子は入院することになります。
その後は小児科が舞台。
小児かには網膜芽腫(治療法は眼球摘出)の患者2人が入院していました。通常なら3歳以下の子が発症する病気ですが東城医大にいる子2人はそれぞれ5歳と14歳で発症した特殊なケース。
あつし5歳と瑞人14歳。
あつしはまだ幼く、MRI検査の時も怖くてぐずります。なので小夜がMRI室に一緒に入り歌を歌ってあげます。するとアツシの大脳が活発に活動を・・小夜の歌には何か力が?MRIの島津は不思議に思います。
一方14歳の瑞人。瑞人の父はろくでもない父親。息子の病気にも無関心でオペの同意書にもなかなかサインをしてくれません。困った小夜はある日瑞人の家までサインをもらいに行きますが・・・
そのご父親が殺人事件で死亡します。
容疑者は小夜と瑞人。けれど、犯行時刻には小夜は夜勤でしたし、瑞人は、その小夜によって、寝ていることが確認されています。果たして犯人は???
ネタバレあり。
その後、瑞人があっさり自白ます。瑞人は14歳だし、手術を控えているので、病院で引き続き保護オペは拒否しているものの、準無菌室に隔離されます。
ガラスを隔てて由紀もそこに収容されています。三度目の骨髄移植もうまくいかなかった由紀は死を覚悟しています。電話を通じて、由紀と瑞人は、話をします。
一方小夜の歌声による大脳の活発化に興味をもった島津はその後も実験を続けます。実験により小夜の歌声は、小夜の伝えたいメッセージを、聴き手の脳裏に、視覚的に実体化させる力があることがわかりました。逆に冴子歌声は、聴き手の深層心理に働きかけ、潜在的な恐怖を実体化させることもわかりました。
そして、12月25日がやってきます。病院のクリスマスイベントが行われます。その日には、小夜のミニ・コンサートも開かれます。
ちょうどその日由紀の最後の願いに応えた瑞人が、屋上に由紀を連れ出し海を見せようとしますが担当医に阻止されます。そして無菌室の中で小夜が歌を歌い、歌を聞きながら由紀は海辺を歩くイメージを思い浮かべながら亡くなります。
そして夕方コンサートで小夜は事件のイメージを歌を通して皆に送ります。
それはあの日、瑞人の父親に家に引きずり込まれ抵抗した時に握ったのが置時計で父親を死なせたこと、その後駆けつけた瑞人が父親の心臓に、持っていたバタフライ・ナイフを突き立てたこと、そして時間をかけて解剖することで死亡時刻を不明にし、二人分のアリバイを作るったこと
これが事件の真相でした。
次の日アツシと瑞人の眼球摘出手術が行われます
感想
眼球摘出しか治療法がない。そんな現実を突きつけられるのがまだ小さい子供達というのが心が痛い。
ミステリーとしてはファンタジー要素が入ってることもありイマイチですが、白鳥と田口の軽快なやり取りやこどもたちのキャラ等が上手でひきこまれました。
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