内容(「BOOK」データベースより)
あきらめて生きる癖がついた。明日何が起きるか予測がつかない、それがわたしの日常だった。その頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら、信じ合って生きていくことが出来るのだろう―。
著者について
いちき・けい 1979年福岡県生まれ。東京都立大学卒。2016年「西国疾走少女」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。2018年、受賞作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』(新潮文庫)でデビュー。他の著書に『愛を知らない』。
あらすじ&感想
家族という鎖は重いと感じる作品
1愛に絶望してはいけない
父親と同じアルコール依存症に夫もなるのではないかというかなっているのではないかと不安に思っている妻が主人公。
素面になると反省してそしてまた繰り返す夫に主人公は「諦めるんじゃなくて、ゆるせたらいいのに。ゆるして信じてやさしくできたらいいのに。」と考えている。
しょっぱなから重い!そしてわかる!あきらめるんじゃなくて許せたらって私も別のことでだけど思っていたので痛いほど気持ちわかる。
わかるうえにアルコールで記憶失って警察に呼ばれるとか財布なくすとかひどすぎてありえないわ
付き合っていた時はもっとゆるかったのにと思う夫の気持ちもわからなくはないけど、結婚して家庭を持つってそういうことでしょ?って私は思ってしまうな特に子供がいるんだもの
でもそれが受け入れられないんだろうな甘いといえば甘いのかもしれないけど、彼らの中ではもっと自由に愛だけで仲良く生きていきたいんだろうな。
2愛から生まれたこの子が愛しい
1の主人公の母が主人公。のちにアルコール依存症になった父との出会いについて語っている。
1の主人公が語っていた父親像とは違い、母にとっては静かでいい夫として登場する。
でもお酒は常にそばにある。そしてアルバイトで生活してる
ただそれを母は幸せと感じているので不幸せな感じではない。
けれど娘のために正社員で働こうとし始めたときから少し喧嘩するように
3愛で選んできたはずだった
娘のために働いている父親が主人公
娘のためにといいつつ酔ったら娘を殴っている。もうその時点であとがどうであれ最悪。
最悪だけど彼の心の寂しさを知り うーーーんだからといってゆるせるわけではないけど、弱い人なんだろうな。最悪だけど悪人ではないんだろうなと思う。
子育てはもちろん大変だけどでも世の中をそこまで憎むほどのことなんだろうか。子供が生まれた時やその後もだけど子供から与えられるものの方がずっと多いというのに。
でもそんな中でも素面の時に少しだけ娘とコミュニケーションをとれていてあーこのまま次の日も飲まなければって思ってしまって心痛くなる 依存症は病院でなおさないと自分の意思ではどうしようもないらしいのでこの時点で病院に・・と何度か読みながら思ってしまった。
4愛で放す
1の主人公が戻ってくる。
娘を自分の父親に合わせたのは結局3・4・5才の時の3回計15時間だけ。
父は60歳前半で亡くなってしまう。
どんなことがあっても娘を殴ってる時点で終わりだけど(そこは変えたくない)、でももし娘がいなかったらというか娘がいても前と同じようにバイトをしながらほそぼそと暮らしていけたら娘のためにって奮起して働かなければ彼はそれこそ幸せに生きることができて、そして暴力ふるってしまってる今でもなお父は決して最後まで娘を愛してなかったわけじゃないんだと思うと余計になんか苦しい
けれどそれよりも、徐々に暴力がひどくなっていく父のその心の中に娘を愛する気持ちがあることによって娘が父を手放せないのが本当に読んでいてつらい
いっそ娘のこと大嫌いでいてくれた方が娘的には救われるのにと思ってしまう
亡くなってなおもっと孫をじいじにあわせてあげればよかったと後悔する娘が不憫でならない
アルコール依存症の怖さよりも、子供がどれだけ異常な家庭でもそこしか知らないため大人になるためそれが普通であると認識してしまう怖さと、気づいてもなお親を愛してしまう子供の愛の大きさに怖さを感じました。 子供の愛は本当に無条件で無限でだからこそ傷つけないようにしなければと自分を振り返るいい機会になりました。
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