国宝 吉田修一

『国宝』を読んで ー 芸に生きるということ

映画化が発表されたときから気になっていた吉田修一の『国宝』。
舞台は戦後から高度経済成長期の日本、歌舞伎の世界を背景に、任侠の家に生まれた**喜久雄(吉沢亮)と、名門の御曹司俊介(横浜流星)**という二人の青年が、芸の頂点を目指して生き抜いていく物語。
映画では渡辺謙、高畑充希、寺島しのぶ、田中泯、森七菜など、豪華キャストが脇を固めてて、すごい人気!(まだ私は見てない)

小説は上下巻で、喜久雄の子供時代から人生最後の時までが描かれてて。よくこれ映画にしたなって感じ。時代的に少し古いのと任侠の世界がよくわかってなくて最初は読みづらいかなと思ったけど本当すらすら読めたな。面白かった。

正直、歌舞伎という世界はこれまで私にとって遠い存在。
けれど、この小説で歌舞伎の演目の説明を読んだり、
文章だけで、舞台の光、衣装の質感、女形の所作の細やかさ美しさを知ることができて。
「実際に観に行ってみたい」となったなぁ。

娘の中受が終わったら母と一緒に見に行こう。

小説の内容的には

喜久雄は、まさに“死ぬまで歌舞伎に生きる”人間。
華やかさの裏で、孤独や痛み、執念に近いまでの努力を積み重ねている。
その姿はどこか恐ろしいほど純粋で、同時に美しい。
芸を極めるとは、こういうことなのだと感じさせられた。

正直途中までは父を殺した本当の人物に気づいてどうするのかに焦点をあてて小説読んでいたんだけど、途中からこれ復讐とかになったら逆に陳腐だなって思ってたので、

事実を知ったときの喜久雄の選択がよかった。

過去を断ち切り、恩を受け取るというその決断に、人としての成熟を感じた。
陳腐な復讐では終わらなかったことが本当によかった。

歌舞伎の世界は読み終わったうえでもまだまだ遠い世界でその世界観をのぞき見することはできても自分の生活に落とすことはなかなか難しいけれど
誰かの期待や過去の痛みを抱えながら、それでも真剣にいき何かを目指そうとする気持ちは、大切にしたいななどと思った


ちなみに私のなかではどうしても吉沢亮の方が俊介で 横浜流星が喜久雄に思えてしまってたけど逆なんだね。びっくり。



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