今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
日本を飛び出し、マレーシアで新薬開発に関わる仕事を始めた直美。自分が探し出した医薬品の原料のせいで、後輩の研究員が発病して死んだ可能性に思い至った彼女は、その感染源を探ろうとするのだが、仕事のパートナーも行方不明になり…。生物多様性条約や、女性の生き方・働き方、文明の功罪など、さまざまなテーマが盛り込まれた、医療ミステリー最新作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
仙川/環
1968年東京生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。新聞記者となり、医療技術、介護、科学技術の分野を担当しながら小説を執筆。2002年に、『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。現在は執筆活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
あらすじ&感想(ネタバレあり)
ウイルスパニック小説を読んで最悪の状態を想像することで今後冷静な判断ができたらと思い手にとった小説でも思っていた展開と全く違いました。
主人公は、ジャングルの中で住む人たちが使う薬草の中から現在医療に使えるものを探すための橋渡しをする仕事をしている。
薬草を手に入れ、それをマレーシアの大学で研究してもらい日本の製薬会社にサンプルを送付することができたので、その謝礼をするためジャングルの村を再度訪れるとその村は突然すべての住民が消えてしまっていた。
さらにサンプルを受け取った日本の研究者が謎の感染症により亡くなってしまう…。
とここまではハラハラする展開なのですが、実はマレーシアの教授と現地ガイドが主人公を介することなく別の植物を仕入れ、それを研究もしないまま日本の製薬会社に送っていて、その植物により研究者が感染症を起こしていて主人公は全くの蚊帳の外でした。
プラントハンターという仕事を思いついたのはよかったけど、マレーシア語も話せない主人公をわざわざ介さなくても、ジャングルに詳しい現地ガイドと直接やりとりした方がずっとスムーズで安く済むしそりゃそうなるよなぁと。
途中、亡くなった男性と同じ研究室だった女性も症状を発症したり、看病していた母親も体調不良だったりという描写があり、感染の方の怖さが描かれるのかと思っていたのですがそういうわけではなく感染自体は今後も広がることがなさそうで、あくまでも主人公の失敗と成長を描く物語という感じでした。
恋愛なんてどうでもいい研究が仕事がとにかく好き。
という女性像の割には考えが幼くいまいち物語に入っていけず、せっかくプラントハンターという設定は面白いのに少し残念でした。
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