今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿―共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。
「BOOK」データベースより
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
恩田/陸
1964年宮城県生まれ。早稲田大学卒。92年日本ファンタジーノベル大賞の最終候補となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年に『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞を受賞し、06年には『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞(長編部門)、07年には『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
「BOOK著者紹介情報」より
あらすじ
今日が終われば女(千明)は友人の家に行き、男(千浩)は新しい女の家に行くことが決まっている男女がアパートの一室で過ごす最後の夜。
というシチュエーションのもと男女交互の視点で話は進んで行きます。
2人の会話から
- 2人は生き別れの二卵性の双子であること
- 大人になって運命的な再会を果たし一緒に暮らし始めるもいつの間にか二人には恋愛感情が芽生えてしまっていること
- 旅行先で出会った山岳ガイドが偶然自分たちの父親だったこと
- しかも2度目の山でその男が旅行中に崖から落ちて事故死していること。
- 2人はお互い相手が父を殺したのではないかと疑っている
などが次々わかっていきます
果たして事件の真相は?
ここからネタバレ
結局真相は藪の中のため、本では千明が想像して出した結論のみ書かれています。
以下千明の想像。
父もやはり子供たちのことに最初から気づいてた。
そしてまた旅行でS山に来ることを知り、二人のことを調べていたところ新しい妻にそのことに気づかれ、新しい妻が自分や子供の今の幸せが壊れるのではないかと恐怖し、夫に千浩や千明に会わせてくれと懇願したのではないか?
そしてあの日、山の麓に来ていた妻に父親は崖から身を乗り出し帰るよう促し、足を滑らしたのではないか。
と一応事件の真相を自分の中で発見し、さらに途中のやり取りで二人は結局血のつながってる兄妹ではなかったことがわかるのですが、かといってまた付き合えるわけでもなく、この後二人は予定通り各々別の道を進んでいくだろうことが示唆されて、夜明けとともに物語は終わります。
感想
あらすじを改めて書いてみるといかにもミステリー小説ですが、この小説はミステリー小説ではなくて恋愛小説として読むのが正しい気がします。
ミステリーだと思うと、最後まで父親が死んだ真相については、明かされないしどれも想像の域をすぎないのでがっかりしそう
でも恋愛小説としてみると、禁断のと書くと陳腐ですが、大きな障害が二人の未来を阻んでいたのにその障害がなくなると逆に2人の結びつきまでほどける感じや、お互いの心を読もうとして冷静なふりをして必死になってる感じが丁寧にかかれていて面白かったです。
小説の中に2人の今の状況を暇な大学生が『ガスを出しっぱなしにして誰が最後まで部屋に残れるか』というゲーム(なんだその危険&迷惑極まりないゲーム・・)をするという昔みた映画に例えてるシーンがありますがそれは実際にある映画でした。
この小説はこんな人におすすめ
- 真相は藪の中なミステリー小説も好き
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