沈黙のひと 小池真理子

今日の一冊

内容(「BOOK」データベースより)


両親の離婚によってほとんど関わりあうことなく生きてきた父が、難病を患った末に亡くなった。衿子は遺品のワープロを持ち帰るが、そこには口を利くこともできなくなっていた父の心の叫び―後妻家族との相克、衿子へのあふれる想い、そして秘めたる恋が綴られていた。吉川英治文学賞受賞、魂を揺さぶる傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小池/真理子
1952年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年、「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

あらすじと感想

泰造は妻と幼い娘・衿子を捨て、別の女性と再婚2人の娘を設ける。

その後ずーっと怜子とはかかわりがなかったが、パーキンソン病と診断され老人ホームに入所し、再婚した妻や娘はほぼ見舞いにも来ないため怜子が見舞いに行くことに。

ただ怜子があった父はすでに手足の自由を失い言葉も話せず意思の疎通がほとんど取れない状態になっていた父だった。

自分の人生とはほぼ関わることなく生きていた父が何を考えどうやって生きていたのか、怜子は泰造がなくなった後、そのワープロの中にある日記や手紙から父の人生を知る。

全部が事実ではない(実際は小池さんの父は離婚してないそうだし)とはいえ小池さんの自伝的な小説。

一言でいうと娘が寛大。

確かに最後には孤独に死んでいった泰造を悲しくは思うものの、小さい娘と妻を捨て別の女性のところへいきなおそこでも不倫して最後に身体が弱ってもまだ性的欲求は衰えずアダルトビデオが遺品として残る人生に「自業自得だろう」っていう感想がどうしても出てきてしまう。

さらに言うと、娘への思いすら、今更そんなあふれる思い残されても・・となってしまう。父の娘に対する愛情は確かにあったのだろうけどそれでもそこにすら自己愛が見えてしまう。

なのに小池さんを通して描かれる怜子はなんて心が広いんだろう

それとももうあと10年もすれば私もそういう境地にたてるのだろうか?

でも小説としては面白かったです。

後、どこまでが本当の話かは分かりませんが「遺品の中にアダルトビデオがあった」というのは本当の話らしく 亡くなった後全国区でそんなことばらされるなんてお父さんかわいそうってちょっと思いました(笑)



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