今日の一冊
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊坂/幸太郎
1971年千葉県生まれ。2000年『オーデュボンの祈り』で、第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第二十五回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第五十七回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で第五回本屋大賞と第二十一回山本周五郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
内容(「BOOK」データベースより)
ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL…。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。
あらすじ ネタバレあり
2019年の秋に三浦春馬さんで映画公開予定の作品
伊坂さんの作品の中では珍しく恋愛がテーマ
アイネクライネ
マーケットリサーチ会社に勤める佐藤が主人公。
いつも冷静で仕事も堅実な藤間さんが奥さんと娘が出て行ってしまったことがショックで会社のデータを物理的に壊してしまい、自分も持っていたコーヒーでバックアップデータを消失させてしまったことで(本データは残っていたので会社に大きな損失はなし)その後会社を休んでいる藤間さんの代わりに反省の意味もこめて夜の街で街頭アンケートを取っている。
美人で性格もいい由美と結婚した小田一真から出会いとは何かを聞いた佐藤が街灯アンケートをしてくれた女性が持っていた不思議な人形を持った女性と後日再会して恋の芽が出る予感を感じさせて終了。
(持っていた人形はバズライトイヤーその時は佐藤はトイストーリーを知らなかったが後日その面白さにはまる)
ライトヘビー
美容室で働く美奈子は担当をしている香澄から弟を紹介したいといわれ、電話番号を弟に教えたいといわれる。
やんわり断った美奈子だったが、その後香澄の弟から電話があり、なんだかんだと8カ月ほど電話だけの付き合いが続いていて・・・
香澄は美奈子に日本人としてヘビー級の世界王者を目指しているウィンストン小野が試合に勝てば弟は美奈子に告白するつもりだということを聞き二人で一緒にテレビをみていたが・・・
そのウィンストン小野が弟だったというオチ。
この話は斉藤和義さんの依頼で書かれた短編アイネクライネとライトヘビー。
そのためこの話には悩みや思っていることを伝えると斉藤さんの曲の中からその人に今一番刺さる歌詞の部分を1回100円で流してくれる斉藤さん(仮名)というキャラクターが登場します(笑)
ドクメンタ アイネクライネの少し後の話
1年に1回あるのは誕生日、4年に1回はオリンピック、じゃぁ5年に1回は?の答えに藤間の後輩(つまり佐藤)はドイツで開催される現代美術の展覧会ドクメンタと答えますが、内容は5年に1度行われる免許の更新の話。
アイネクライネでは律儀でしっかりものの藤間さんですが、実はプライベートではとにかくおおざっぱ。
そんな彼なので免許の更新もいつもぎりぎり、そのぎりぎりの更新で相手もギリギリで更新に訪れた女性と5年前少しだけ話をしたのですが、今回も5年ごしに出会います。そこで彼女は大雑把な性格で夫と別居中ということが判明。
ところがその5年後彼女はあることをきっかけに離婚を免れていて。
そのある方法とは通帳記帳で。この話とってもよくわかります。
ルックスライク アイネクライネの10年後の話
久留米和人は平凡で自分にそっくりな父親が大嫌い。
ある日藤間亜美子(藤間の娘)の友人であるクラスで人気の小田美緒(アイネクライネの小田夫婦の娘)が駐輪場で不正を行う人物を一緒に探してほしいといわれついていくとおじさんが50円をケチって不正をしていたことがわかり注意しますが・・・
面倒だなぁって思ってるときに助けにきたのが二人の担任の深堀先生
「彼女が誰の子供かご存知ないんですか?怖くないんですか?」といって相手をひるませる方法で2人を助けます。
そこに和人の父親と偶然遭遇し、深堀先生と和人の父親が昔付き合っていたことが判明。
2人の出会いもまた、深堀先生がバイト先のファミレスで客に絡まれていたときに和人の父が「彼女のお父さんがだれかご存知ないんですか?」といって助けていたことがわかる。
いつもサプライズされる側の深堀先生がそんな関係に嫌気がさしたことと自分の胸が小さいことに対するコンプレックスから別れましたが、今こうやって和人の父にサプライズできたこと、そして和人の母が胸が小さくて「胸が小さい方が好きだ」といってた和人の父の言葉が嘘でなかったことが証明され終わり。
素敵なサプライズ。
メイクアップ
窪田は化粧品メーカーで働く女性。高校の時は今よりも太っていてクラスの中心的人物の亜季にいじめられた過去を持つ。
その亜季が今回窪田の会社の化粧品の広告をすべくプレゼンに参加。
亜季は窪田が昔いじめた女性だとは気づかず仕事のためなのか、既婚の窪田を合コンに誘います。
そこで窪田は亜季が辻井という男性を気に入っていてそのために他の女性がトイレに行ってる間に「彼女は彼氏がいるから」といったりと昔と変わらないいじわるな面が見えます。
窪田は亜季の上司や辻井に過去のことをばらす復讐を考えますが結局何もせず。
最後に、①プレゼンに成功するが辻井が既婚者 ②プレゼンには失敗するが辻井とはうまくいく というどちらも1勝1敗の未来がまっていることを読者にお知らせして終わり。
ナハトムジーク アイネクライネの19年後
小野学のボクサー人生を振り返る話。
19年前ヘビー級チャンピョンになるも、その後連敗。
そして9年前にオーエンスコットと対戦し、最後はKOするが、ゴング後という判定になり・・・
美奈子はすでに小野と結婚。子供もいます。
美緒の同級生だった和人は音痴で合唱コンクールで口パクしろと言われるほどでしたが、その前に漫才をすることになりそれがきっかけで今は漫才師に。
一真はウィンストン小野の再戦を娘の美緒と藤間の娘亜美子と見に行きました。
佐藤は該当アンケートで知り合ったあの女性と付き合っていた模様
と最後に今までの登場人物の近況がわかり終わり。
まとめ&感想
登場人物がどこかでつながっている。
狭い日本なので実際にも誰も気づいていないこんな奇跡が転がっているのかも
好きな言葉
後になって『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』
って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ
藤間、外交そのものだぞ。宗教も歴史も違う、別の国だ、女房なんて。それが一つ屋根の下でやっていくんだから、外交の交渉技術が必要なんだよ。一つ、毅然とした態度、二つ相手の顔を立てつつ、三つ、確約はしない、四つ、国土は守る。そういうものだ、離婚だって立派な選択だ、ともにやっていくことのできない他国とは、距離を置く方がお互い国民のためだからな。
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