今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
貫井/徳郎
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。不動産会社勤務を経て、93年に『慟哭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
あらすじ
エリートサラリーマンと美人な妻そしてかわいい子供たち、そんな一家四人全員が殺される事件があった、犯人はまだ捕まっておらず、ライターが改めて事件の真相に迫ろうと取材をすることになりました。
近所のおばさん、ママ友、会社の同僚などを通して事件の概要そして夫婦の裏の顔が明らかになっていきます。
2人ともとんでもない悪人ではないものの、自分の人生のためなら他人は多少傷つけても構わないという考えを持っていて、過去には2人に傷つけられた人物がたくさんいることがわかっていきます。
小説では、そんなインタビュー記事の途中に何回か小さい女の子の回想シーンが挟まれています。
女の子はいつもお腹を空かせていて、父親には性的暴力を母親からは虐待をうけています。
彼女にはお兄ちゃんだけが光。お兄ちゃんだけが希望。
そして兄への強い依存
ここからネタバレ。
殺された妻は文應大学出身でした。
この大学はエスカレータ式の大学で内部生と外部生の間には大きな溝が存在していましたが、友季恵(妻)はその美貌と要領の良さで、外部生であるにもかかわらず内部生と一緒に遊べる特別な生徒でした。
もう一人外部生でとても美人な女性がいました。
彼女は特別美人でしたが、友季恵の仲介で内部生を紹介されては体の関係を結んでそして捨てられるという存在でした。
この彼女こそが今回の一家殺人の犯人そして虐待の記憶を持つ少女です。
現在彼女は、自分の子どもを育児放棄してしまい塀の中にいます。
彼女の子供の父親は虐待から彼女を救った兄。
そしてこの兄が今回の事件を取材と称して誰かが妹の犯罪に気づいてないか調べてたルポライターでした。
殺害の動機は
シングルマザーとして兄の子を育てようとしていたが、うまく育てられず疲れていたころに昔の友季恵を見かけ、思わず後を追いかけるとそこには自分がなしえなかった幸せな家庭があったから。
感想
私が好きな取材形式で様々な人の目を通して一つの事件が明らかになっていくタイプのお話。
そしてその取材と取材の間にある女性が虐待されていた話を語ってるシーンが挟まれていてこの女性が犯人で記者がその犯人の兄弟という設定がよく考えられていて面白かった。
ただ、仮にも中学から慶応という設定なのに登場人物が皆浅い。
女子はあんな露骨なマウンティングしないしあんなわかりやすく嫉妬や僻みは見せない気がする
女子の世界はもっともっと表面は穏やかでそして深部でどろどろしてるんじゃないのかな
映画ではお兄ちゃんが妻夫木で犯人である妹が満島ひかりです。
この本はこんな人にお勧め
- 学生時代の女子のどろどろを読みたい人
- インタビュー形式で進む話が好きな人
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