内容(「BOOK」データベースより)
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから脱け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点。’98年日本推理作家協会賞受賞。
著者について
■桐野夏生(きりのなつお)
1951年生まれ。’93年、『顔に降りかかる雨』で、第39回江戸川乱歩賞を受賞。’97年発表の本作『OUT』は「このミステリーがすごい!」の年間アンケートで国内第1位に選ばれ、翌年同作で日本推理作家協会賞を受賞した。’99年『柔らかな頬』(講談社)で、第121回直木賞を受賞。近著に『ファイアボール・ブルース2』『光源』(ともに文藝春秋)、『玉蘭』(朝日新聞社)、『ローズガーデン』(講談社)などがある。
あらすじ&感想
このミス1位だった作品。
この頃のこのミス「このミステリーがすごい」は外れなしで選ばれた作品はどれもものすごく面白かった。
- 1997年 不夜城
- 1998年 OUT (2位が黒い家)
- 1999年 レディージョーカー(3位が宮部みゆきの理由 5位が貴志祐介の天使の囀り)
- 2000年 永遠の仔 (2位が東野圭吾の白夜行)
登場人物
- 香取雅子 43才 元信用金庫に勤めていた。知的な人物。息子は大学中退後引きこもっている。出世コースから外れた夫は空気
- 吾妻ヨシエ 50代 夫はすでに亡くなっている。がっちりした体型から皆に師匠と呼ばれている。大学に行きたいと言っている娘がいるがお金はない
- 城之内邦子 30代 派手な格好をしてるが、容姿が悪く水商売で働けないため工場で働いている。軽率で口が軽い。
- 山本弥生 34才 美人で夫と二人の子供がいるが夫が女とばくちにはまっている
4人とも夜の工場でお弁当を作るパートをしている。
あらすじ ネタバレあり
山本弥生が夫を殺してしまう。
夫は貯金をすべてバカラとホステスに使い込んでいて、給料をずっと家に入れないことを注意した弥生を殴ったため発作的に殺してしまった。
「殺してしまった」と連絡してきた弥生に雅子は「どうしたいの?」と弥生に聞き、雅子自体どうして助けてしまいたくなったのかわからないまま弥生を助けることにする。
ただ、一人で死体をバラバラにして捨てるのはさすがに大変なので、ヨシエに手伝わすことにする、雅子はヨシエにお金を貸していたため、それをたてにヨシエに死体解体を手伝わす。
とりあえず弥生の家で解体してしまっては足がつくと考え死体を運び雅子の家で解体することに、そこに運悪く邦子が訪ねてきたため結局3人で解体作業をする。
出来上がった塵袋を3人(弥生は自分の家で待機)でそれぞれ捨てることにして解散。
ところが捨てるのが面倒になった邦子がその辺にゴミを放置してしまったて速攻死体は見つかってしまう。
これで4人は捕まってしまうと思っていたが、逮捕されたのはバカラ賭博の経営者。過去に娼婦をリンチで嬲り殺した人間で刑務所に入っていたこともある男だった。
男はその時に殴って刺して血だらけになりながら抱いて殺した彼女のことが忘れられずにいる。
主婦たちは自分たちが逮捕されないとわかりホッとする
弥生の元には夫の保険金5000万がはいってきて雅子が200万・ヨシエと邦子が50万をうけとり事件は終わる・・・
過去に雅子が勤めていた信用金庫で取立屋まがいの仕事をしていたこともあり雅子のことも知っている邦子の借金とり十文字が邦子の借金をチャラにしてやると言ってこの秘密を聞き出し事件の真相を知ってしまう。
十文字は死体処理ビジネスを1体400万円でしないか?と雅子に持ちかける。
そして雅子はそれをヨシエに1体100万円でてつだわせることにした。
そんな死体処理ビジネス。3体目の死体はなんと邦子だった。
無実の罪で捕まった佐竹が彼女らの犯行に気づき、しかも現在死体処理ビジネスまでしてることを知り復讐のために邦子の死体処理を頼んだのだ。
邦子にまず近づきすべてを聞き出し殺害、その後弥生に近づき保険金の5000万すべてを奪い、ヨシエの家に放火する佐竹。
そして最後に雅子に近づく。
雅子は警戒心も気も強く、昔殺した女性にそっくりだと気づき佐竹は雅子に憎しみと同時に愛情を抱く。
そして二人は対峙する。
佐竹は雅子を殴り何度も性行為に及ぶ。雅子は性行為にのってあげてるふりをしながら死ぬ直前のところで佐竹をもっていたメスで切る。
ようやくすべてが終わった雅子は、死体を解体して得たお金で海外に飛ぶためにドアを開く。
というところでお話終わり
感想
どうしよう殺しちゃった(てへ)
もうしょうがないなー今回だけ助けてあげるよ
みたいなテンションで殺してしまった夫の死体を解剖しててちょっと笑ってしまった。
その後の相手を殺しながらするセックスにはまってしまった佐竹がまたあの感じを味わいたくて・・っとなってるところとかは桐野さんのハードボイルド小説感が出すぎててちょっとついていけなかったなぁ
「何も変わらない平凡なでも幸せではない毎日」をおくっていた主婦たちがそこから抜け出すために「そうだ京都に行こう!」みたいなテンションでの「そうだ死体をバラバラにして処理しよう!」ってなる小説です。
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