殺人鬼にまつわる備忘録 小林泰三

今日の一冊

著者について

一九六二年京都府生まれ。九五年「玩具修理者」で第二回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。九八年「海を見る人」で第十回SFマガジン読者賞国内部門、二〇一二年『天獄と 地国』で第四十三回星雲賞日本長編部門、一四年『アリス殺し』で啓文堂大賞文芸書部門、一七年『ウルトラマンF』で第四十八回星雲賞日本長編部門をそれぞれ受賞。その他の著書に『パラレルワールド』など。

あらすじ&感想

一言でいうとこんな物語

記憶が数十分しかもたない男が人の記憶を書き換えることができる殺人鬼と戦う話。

あらすじ

主人公が目を覚ますとそこは知らない部屋。部屋には1冊ノートが置かれていてそこに「自分は数十分しか記憶が保てない前向性健忘症(過去のことではなくこれから起こることを記憶でない)患者である」と書かれている。

そして目が覚めた時に今まで起こったことを理解するためにこのノートを記憶媒体として書き留めていて、現在は殺人鬼と戦っていることなどが書かれている。

一方で、その殺人鬼と書かれている男は「雲英光男」彼は相手の体の一部にふれ言葉を発するだけで、相手にその言葉通りの記憶を植え付けることができる能力を持っている。犯人はお金がなくなればその辺の人から借金させてまでお金を引き出し、その辺の女性の記憶を改ざんしては性欲を満たしと悪事の限りを尽くしています。

で、その二人が出会い、殺人鬼の殺人をとめようとする主人公と、記憶がないから記憶が改ざんできないという危険因子(主人公)を排除しようとする殺人鬼との闘い。

ここからネタバレ

最終的にノートの存在も殺人犯にばれるがそれを見越して嘘の記述をしたことにより犯人を逮捕することができる。

ここで一件落着かと思いきや、

実はこの作戦は、最初の方に登場していた謎の老人が二吉のノートに二吉そっくりの字を書くことで実行させていた作戦だとわかる。そして目が覚めると最初の方に二吉の住むマンションにやってきた婚約者を名乗るにもかかわらず自分の名前すら知らなかった怪しい黄色い歯の女性が自分の婚約者として部屋にいて

というところでこの話は終わる。

冒頭で人の肉を思わせる巨大な肉の塊が冷凍庫に入っていたりっていうことについての謎も謎のままでこれはまだ続きそう。

感想

記憶できないという探偵にはとてつもなく不利な状況が記憶が改ざんできるという特殊な犯人の前では最強の武器になるというなかなか面白いテーマでした。

冷凍庫の謎の肉や謎の女性や謎の老人とこれからの続編も楽しめそう。

小林泰三さんは記憶をテーマにした小説が多い。読んでいると前向性健忘症でなくても自分の記憶していると思っていることの危うさを感じて怖くなりました。

息子が「大人になってからの3歳くらいまでの記憶はすべて後から親等から聞かされた話らしいよ」とどこかで調べて教えてくれたんだけど。本当に3歳くらいまでだけなのかな・・・とか怖いことを考えました。

シリーズ化されています

この小説の3話目の主人公が今回の小説の主人公二吉 でも今回の主人公とは微妙に違うような  

今回の小説に登場する謎の黄色い歯の女はここに出てくる北条夏生だと思われます。

ここにも田村二吉登場します



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です