あらすじ
大人になる途中で、私たちが取りこぼし、忘れてしまったものは、どうなるんだろう――。封じられた時間のなかに取り残されたあの子は、どこへ行ってしまったんだろう。
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。圧巻の最終章に涙が込み上げる、辻村深月の新たなる代表作。
ネタバレ&感想
ミライの学校。理想の教育を求め集団で生活 親は子供と離れて、子供はなるべく子供だけで考え行動する。
弁護士の法子はかつて夏の間だけ3年間このミライの学校で過ごした思い出がある。
ちょっとあこがれていた女の子の友達と一緒に行ったのに、いった途端グループが違って、一人で困ってたところ声をかけてくれたミライの学校に住んでいるミカとそして少し年上のシゲル。
ミカとはとてもいい友達になれたしシゲルには淡い恋心を抱いたとてもいい思い出。
けれど、そのあとミライの学校では学校の象徴でもあった聖なる泉の水がペットボトルで5,000円で売られるようになったりしたこともあり怪しい宗教団体のようなイメージで報道されている。
そして、今回その未来の学校の跡地から子供の白骨死体が発見された。
そして法子のもとに白骨死体が自分たちの孫かもしれないので調べてほしいという依頼が届き、法子はミライの学校の田中という担当者に話を聞きに行く。
けれど田中はとても冷たい対応で…。
ここからネタバレ
この田中が実はミカ。ミカは小学校の時に、お友達が悪いことをしたことを理由に反省部屋に入れたところ、抜け出そうとしたその子が転落して死んでしまう。大人たちはそれを隠そうとしてそのまま埋めたってのが今回の白骨遺体。その後もミカはずっとミライの学校にいて、シゲルと結婚して。
シゲルは今は離婚して二人の子供のうち一人はミライの学校で、もう一人はミライの学校の外でシゲルが育てていた。
事件自体は事故でそれを隠蔽した大人たちはもういないのでそこまで大きな驚きはなかったんだけど、それよりもミカと法子の子供時代と現在との描写がとてもリアリティがある。
子供のころとかうまく言葉にはできなかったけど確かに私もこんな風に考えてたなぁとなったし、同じ思い出がミライの学校の外にいる法子と中にいるミカではこれほど違う感情を持つんだっとも思ったし、こういう小さい頃の思い出が今の大人の二人に大きく影響していてしかもそれがとてもリアルな感じで子供を育てる側となった今では今の私の言葉や行動が当たり前だけど子供のこれからの人生に影響与えるんだなって改めて思ったりして
そういう色んな思いで読んでいて少し疲れるくらい それくらいのリアリティでした。
辻村深月おそるべし。
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