内容(「BOOK」データベースより)
ダンサーと、画家の兄弟。答えのない世界でもがく孤独な魂は、いつしか狂気を呼び込み、破裂する。
あらすじ&感想
誉田が率いるダンスカンパニー。
その主役の座を射止めた誠が初日公園の3日前突然いなくなり、そこから公演初日までの3日間を様々な登場人物目線で描いた小説。
今回行われる舞台は「カイン」。聖書で描かれる最初の殺人者。神様に捧げものしたのにお兄ちゃんのは喜んでくれたのに自分のは喜んでくれなかったとかで嫉妬して殺しちゃった人です。(ざっくり)
その主役に抜擢された誠は何度も何度も殺人シーンをダメだしされ、ついに上演3日前に姿を消します。
で、その後主役の代わりとして名前を呼ばれたのが誠のルームメイト尾上。
彼は急に誉田に指名を受けそっからスタジオにこもりっきりで練習をしますが、誉田からは全く認められません。
そして姿を消した誠を心配している彼女は彼の行方を捜しますがこっちも全然どこにいるかわかりません。
今回カインとアベルと同じ様に舞台には誠の兄弟である画家の豪の絵が舞台に飾られています。
その豪はずっと同じ人をモデルとして描いてました。そのことを豪の彼女はとてももどかしい気持ちでいます。
姿を消した主人公。その行方を追う彼女。新しく主役に抜擢された尾上。絵のモデルになってる女性。その女性に嫉妬する豪の彼女。それぞれが色んな思いを抱えたまま舞台初日に。
そこには尾上ではなく誠の姿があり・・・。
ううーーーん とにかく芸術方面に疎い私としてはええええそこまで・・・ってなる
誉田さん確かにすごいかもだけどめっちゃパワハラやん・・・
しかもここからネタばれですが誠が姿を消したのは自分の家にモデルを解雇された女性に刺されてなくなった豪がいて、それを誉田さんに連絡したらそこで練習して本番までこっちに来るなという指示を受けたからなんだけど。 いやいや本当にそこまで?そこまで大切なの??という部分がどうしても理解できずだからこそ彼らの狂気が読んでいて新鮮ではありました。
そして尾上さんはただ家に戻らせたくないから主役に抜擢されたと思わせてずっと練習させてたってことなんだけど「いや尾上さんかわいそうすぎ・・・。」
確かに主役変更とも尾上さんを主役とも言ってないけどでもそう思うじゃん・・・。誰でも・・・そしてそのあとの舞台で彼は失敗して舞台を降りるとか本当に・・・
でもでも、私こっからがこの小説の中で一番好きなところだけど、尾上さんはそれでもあの時自分がすごい踊りができていたら主役の座は自分のものだったかもしれない、やはり自分の実力不足と思い、その後数年後にちゃんとカインの主役を演じそして成功してるんだよね。
尾上さんすごい。
こういう世界で成功する難しさとか考えると私はぬるい世界で生きてるなぁ
自分にも甘々だし。などぬるま湯につかりながらもう少し頑張らないといけないなど思ったりしたもののやっぱり違う世界だなぁとまたぬるま湯につかりなおす感じで読んでました。
それにしても芦沢さん前回の本に比べてかなりテイストが違う作品でびっくり
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