今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
恋人でも、友達でもない、たまたま集まった職場の同僚たち…「ここに消えない会話がある」。ずっと好きだった先輩の退職前、最初で最後の二人きりのデート…「ああ、懐かしの肌色クレヨン」。いま隣にいる誰かとの、二度と訪れないかけがえのない時間を描いた作品集。
著者について
1978年生まれ。2004年に、会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞し、デビュー。ほかの著書に、『浮世でランチ』、『指先からソーダ』、『カツラ美容室別室』、『論理と感性は相反しない』、『長い終わりが始まる』、『男と点と線』などがある。
あらすじと感想
ここには消えない会話がある
テレビ欄を作る仕事をする会社。そこでの日常を丸っと切り取りその中で働く人の内面を描いた作品
特別な事件があるわけでもなくて、職場の雰囲気は仕事内容こそ特殊だけどわりとどこにでもある風景。
職場の人間関係も良くも悪くも職場だけの関係。
そんな彼らが例えばテレビ欄の校正をしながら話す会話で、それぞれが人生について考えるという流れになっています。
『先に続く仕事や、実りある恋だけが、人間を成熟へと向かわせるわけではない、ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ」という言葉が作中に出てくるのですがまさにその通りの内容です。
そういうわかっているけど文章化しにくい内容をものすごく丁寧に繊細に書かれていて、よい本でした。
ああ懐かしの肌色クレヨン
ずっと好きだった先輩が退職する前に、最初で最後のデートをするという話。
ただ先輩をデートに誘い。ぎこちない感じながらも念願のデートをする。
ただそれだけそっからの進展はなさそうだし、本当にそれだけの話。
でもこれもこれでよい
心に残った言葉
生きるのが面倒なのは不幸だからではなく、生半可な幸せと堪えられそうな不幸が交互に訪れるからではないだろうか
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