自転しながら公転する　山本文緒

内容（「BOOK」データベースより）

東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

著者について

1962年神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞した。著書に『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『そして私は一人になった』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』など多数。

あらすじと感想

32歳の女性。母親の更年期障害がひどくて、仕事を辞めて実家に戻ってきている。今は正社員ではなくパートとして服を売っている。

そこで出会った男性と恋に落ちるが、彼は中卒で仕事も正社員ではなくて将来を考えるには不安。

という話（ざっくりすぎる）

でもまぁこういうどこにでもいそうな女性をものすごく丁寧に書いている小説でした。

ここからネタバレ

彼と歩んでいこうと決めた日に、彼が飲酒運転をし、しかも無免許運転で捕まり一度は別れるのですが、それでもやっぱり彼が好きってことで結婚という流れになっていました。

そしてエピローグではお金で苦労するも、彼女のことを慕ってくれていたお金持ちの外国人の男の子の会社で働くことでなんとか子どもを育てることができて、その後彼もすし職人としてちゃんと働いてハッピーエンドという形になっていましたが、本当これはお金持ちの外国人の男の子がいたからよかったもののいなかったらと考えるとやっぱり主人公浅はかだなーってなっちゃいました。

彼が中卒であることや稼がないことが問題なのではなくて（いや稼いでは欲しいけど）、最初にあったその日に無免許であることを言い出せなかった彼は主人公が思うようにうんちくはいくらでも話せるけど肝心なことを話せない人だと思うそして理由がどうであれお酒を飲んだ日の明け方に運転しちゃうところや無免許でも運転しちゃうというそういうことをしちゃう人間はいくら優しくてもダメだと思う。

でも悩んで友達に話して他の男の人に誘われると打算的にそれでもいいかとなったりしてなんかぐるぐる回ってるけど結局彼の元にいっちゃうというのがとてもリアルに描かれていて小説としてはとっても面白かったです。