今日の一冊
あらすじ
第38回(2001年) 文藝賞受賞作
21世紀の始まりに文藝賞を受賞した17歳の女子高生。
ということで当時は大騒ぎでした。
私はすでに20代でしたが、それでも同じ若い世代が時代を変えようとしていることになぜかドキドキしたことを今でも覚えています。
主人公はそんな作者と同じ年齢17歳の野田朝子。
人生に疲れて、受験戦争も嫌になり、ある日学校に行かないことを決めた朝子は、部屋のものをすべて捨ててしまおうと祖父からもらったパソコンをゴミ捨て場に捨てに行ったところで、小学6年生の少年青木かずよしに出会います。
操作がわからず壊れていると思っていたパソコンを、青木少年はさくさくっと再インストールすることで使えるようにし、朝子にそのパソコンを使って一緒に金儲けをしようともちかけます。
金儲けの方法は、青木少年のメル友である子持ち主婦のふりをして、ネット上の顧客といかがわしいチャットをするというもの。
昼間っから制服を着たまま学校にもいかず押入れでいかがわしいチャットしている女子高生の私・・・
しばらくはそんな生活を楽しみますが
でも結局元の世界へ戻っていくというお話
感想
綿矢さんが10代の時に書かれた作品。
10代の人には当たり前の風景が、年齢を重ねてから読むと懐かしくて、なんてことない日常すら今読むとまぶしく感じました。
主人公がテスト前に「勉強してない」と嘘つく騙しあいについて悩んでたりするシーンや、友人とのかかわりも、大人の私にはただただ懐かしい。
そしてそのころの細かな心の動きをちゃんと茶化さず書いてくれているおかげでちゃんと美化せず書いてくれているおかげでちゃんと懐かしむことができているのがよい!
10代のいわゆる難しい年ごろの作者が、その難しい年ごろを通り過ぎてないのに、その難しい年ごろ感を正確に書いていて この作者はやっぱりさすがだなぁと思いました。
この小説はこんな人にお勧め!
- 青春時代のもやもやを懐かしみたい人
- 2001年あたりに10代後半から20代前半の人