今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
あらすじ ネタバレあり
第一章
東大阪の建設中のビルで死体が見つかる。
被害者は質屋の主人桐原洋介。なぜかベルトの穴が2穴緩んだ状態で刺殺された。
見つけたのは建設中のビルで遊んでいた子供。刑事の笹垣らは、質屋の顧客等を中心に捜査を行う。
- 西本文代 洋介が殺される直前に定期預金100万円をひきだし彼女のいえを訪問している 文代は最初洋介が来てないとウソをつきそうになるが、聡明そうな娘雪穂が「来てたよね?」と母親に言ったことで洋介が来たことは認めるが殺害時にはアリバイがあることがわかる。
- 松浦 洋介の質屋で働いていた 松浦は洋介の妻と関係があったようだが、洋介が殺害された時間、洋介の奥さんと洋介の子供亮司と一緒にいたというアリバイがある。
- 寺崎 文代と付き合っていた人物 文代とは真剣交際していたため、質屋の顧客である文代に付きまとう洋介を疎ましく思ったのではないかと警察は考える。アリバイもない。しかし寺崎はその後事故死。車の中には洋介のものと思われるライターが発見される ということで、寺崎が怪しいとなりつつ、事件は暗礁に乗り上げる
そして、1人目の容疑者だった文代も死亡する。
雪穂の母である文代は、雪穂が鍵を忘れたのであけてほしいと頼んだ管理人と一緒に家に入ったところ、ガス中毒で亡くなっていた。
普段は飲まないお酒と必要量以上の風邪薬、そしてお鍋の噴きこぼれによるガス中毒にもかかわらず汚れていないコンロといくつかの不審な点があったが文代は事故死として片づけられる。
第二章
事件から4年後
雪穂は親戚である唐沢礼子の養子になっている。彼女はとても美しい中学生に。
その美しさにやっかむ人もいて、「彼女が養女であること、実母が事故死したが、本当は自殺かもしれないこと、そしてその自殺の原因に殺人事件がかかわっていること」などを噂する人間(これが後で出てくる都子)もいるが、彼女の美しさに魅了され友達になれたことをうれしく思っている江利子はそんな噂を信じていない。
秋吉雄一は隣の中学の雪穂の美しさに見とれつつ、その彼女の写真を隠し撮りして同じクラスの牟田に売っている。ある日牟田に雪穂ではなく藤村都子の写真も欲しいと頼まれる。
秋吉雄一が持っている他の写真に目を付けたのは亮司の父の死体を最初に見つけた子供の兄で秋吉雄一と亮司の同級生の菊池文彦。
雄一が持っている写真に松浦と亮司の母が写っていて、二人ができていたことを証明する写真だと菊池文彦が気づいたから。
菊池文彦の弟が死体を発見した後、警察に母が疑われたりしていてその時の恨みのようなものもあり事件に執着していたのだ。
ある日、雪穂と江利子がいつもの道ではなく近道をして帰ろうとしたところ、同級生の郁子が手足を縛られ半裸の状態で見つかる。二人は郁子のことを皆には内緒にして都子を守る。(これで郁子は雪穂の陰口がいえなくなる)
そして警察には自分たちのことを撮影していた男子がいることを証言する。そして警察は雄一に事情を聴く。雄一は写真を牟田に頼まれて撮ったこと、最近は雪穂だけでなく都子の写真も頼まれたことを警察に正直に話す。そして現場で見つかったキーホルダーが文彦のものであることも証言する。
文彦はその時間親が偶然お客さんにもらった映画のチケットを使い映画を見ていたと警察に話す。最初は信用してくれなかったが亮司がたまたま友人と映画館からでてくる文彦を見たと証言してくれたため疑いがはれる
そして文彦は亮司が証言してくれた代わりに松浦と亮司の母が写っていた雄一が持っていた写真を亮司に渡す。
第三章
亮司に誘われて園村友彦と村下は主婦を相手に売春を行う。
その後個人的に会うことはしないように亮司に言われていたが、友彦は相手の女性(花岡タ子)に電話番号を書いた紙を渡されていて、ずるずると逢瀬を重ねてしまう。
一方その時に途中で逃げ出した西口奈美江は会社名が入った腕時計をマンションに忘れてきたことに気づき夜中に一人で取りに行く。
するとそこには亮司が一人でいて面白い話があると持ち掛けられる。
友彦との関係が夫にばれたかもしれないといわれるもその日もホテルにいった友彦。
ところが突然行為後に夕子は心臓発作で死んでしまう。
とりあえずホテルの鍵ももったまま家に帰ってきた友彦は自分ひとりでかかえきれずすべてを亮司に話す。
亮司は友彦に警察にはすべて話してもいいが、売春の組織のことは自分がやっているわけではない(やくざが絡んでいると暗に示す)ので言わない様にとだけ言い、友彦を切ろうとするが、部屋にあるパソコンをみて友彦がパソコンを使えることを知り友彦を助けることにした。
その後、亮司が何をしたかはわからないが、夕子の夫と警察がそれぞれ友彦のもとを訪れるが特に疑われることはなかった。
なぜなら夕子の身体の中の精液はAB型で友彦はO型だったため。
友彦は亮司がAB型であることを知り、亮司をなにがあっても助けることを誓う。
その後亮司は無限企画というパソコンゲーム屋を立ち上げる。最初に逃げ出した奈美恵も経理として参加している。3人はサブマリンという名前のゲームプログラムにそっくりなプログラムをマリンクラッシュと名付けて販売する。
第四章
大学生の中道正晴は雪穂の家庭教師。雪穂のことが好き。
雪穂の気を引きたくて大学のことや研究内容のことなどを話していた。ある日自分の研究室で作ったゲームのことを話すと興味をもってくれて一度そのプログラムをみてみたいと雪穂に言われる。
カセットテープに入っているだけで見た目はちっとも面白くないよ?と答えるが雪穂はみたがったため持っていくことに。実際見てもただのカセットテープだったので雪穂はさほど興味もいだかずすぐに返す。
ところがその後、彼らが制作した「サブマリン」によく似たゲーム「マリンクラッシュ」が通信販売されていることを知る。研究室のメンバーのだれかが流出させたと考えるが真相は分からず。
一方正晴は養母から雪穂の本当の母文代が亡くなった事件のことを聞き、たまたま知り合った死体の発見者であるアパートの管理人を訪ねる。
そこで 味噌汁が吹きこぼれて火が消えたにしてはコンロ周りが汚れていなかったこと通常の5倍の風邪薬を飲んでいたことなどを知る
また彼女が文代が死ぬ前から養母の家にお茶やお花を習いに来ていたことを知り、もしかして文代の自殺は雪穂が自殺に見せかけて・・・と想像してしまう。
しかし、実母のことを思い出して涙を流す雪穂をみて正晴はやはり雪穂はそんなこではないと思い直す。
第五章
雪穂と江利子は同じ大学に。ソシアルダンス部に入る。
そこで江利子は大手製薬会社の篠塚製薬の御曹司に見初められる。
彼に出会って今まで似合うと雪穂に言われていた髪型も変え服も変え垢ぬけた江利子。
彼には美人の恋人香苗がいましたが、江利子に夢中になります。
ところがある日江利子は誰かに襲われます。
篠塚は突然連絡がとれなくなった江利子の裸の写真が送られてきたことでそのことを知ります。
犯人はわかりませんでしたが、部に知らない男から香苗宛に「後の入金も頼む」という電話があり、実際部の口座のカードは数週間ずっと香苗以外触ってないにもかかわらず、通帳からは二度にわたり多額の出金があったため篠塚は香苗が誰かに襲わせたのだと考えます。
ただ、江利子はリスクを考え警察には届けず、ソシアルダンス部には戻らず雪穂を通して篠塚には別れを告げ、篠塚ともそれきりになりました。
テレビのニュースでは預金が本人の知らない間に引き出されたというニュースが流れています。
第六章
亮司と友彦は銀行口座のキャッシュカードの欠点を知り他人の口座からお金を引き出すことに成功しています。
そんな時奈美江の勤める銀行の行員が殺害されます。
実は奈美江はヤクザの榎本とできていて、自分の勤める銀行のお金をせっせと榎本に流していました。
それに気づいた行員を榎本が殺害し、それをしった奈美江が榎本と縁を切りたいと亮司に相談します。
奈美江は自分の隠し口座5つにも送金を行っていて結構お金は持っていましたが、榎本は彼女のことを追っているようなので亮司は名古屋のホテルにしばらく身を隠すように奈美江に言います。
しかし数日後奈美江は殺されます。
そして5つの隠し口座のお金もすべて引き出されていることを知ります。
奈美江を殺したのは榎本だと思うものの彼女の居場所を教えたり彼女の隠し口座のお金を撮ったのは亮司ではないかと友彦は考えます。
第七章
高宮誠は東西電気のライセンス部に所属しています。
派遣会社からきている三沢千都留のことを好きになっていましたが、もうすぐ結婚を控えていたため何もできずにいます。
その結婚相手が雪穂。
高宮誠はダンス部雪穂に出会いその後ずっと付き合っていました。
過去に雪穂が高宮誠との子どもを中絶したことがあり結婚は責任でもあると思っています。
雪穂がみせた妊娠検査薬の話は後でも出てきます。
でもやはり千都留のことが忘れられず、結婚式の前日に派遣期間が終了したら地元の北海道に戻るといっていた千都留が泊まっているというホテルに会いに行きます。
しかし千都留はホテルの前で警察を名乗る人物にホテルの部屋を譲ってほしいといわれ別の高級ホテルを用意されていたこともあり部屋を譲ります
(この警察官が大阪弁ということで亮司ということがわかる。)
待っても千都留がくることはなく高宮はあきらめて予定通り雪穂と結婚します。
第八章
友彦と亮司はパソコンショップMUGENでパソコンを販売しています。友彦にはバイト先で知り合った弘恵という彼女ができています。
弘恵は一度友彦の子供を妊娠しますが、堕胎しています。
そのことを忘れないようにと友彦は検査薬をお守り替わりに持っています。
一度だけその検査薬を貸してほしいと亮司に頼まれて貸していますが何に使ったのかまでは知りません。
ある日、堅気ではないと思われる金城から「スーパーマリオブラザース」の海賊版をつくってくれと頼まれます。
亮司はさすがに危ないといったんはその仕事を断りますが、金城経由で亮司の居場所をしった松浦が亮司の下を訪れて再度海賊版のことを頼みに来ます。亮司は松浦に弱みを握られているためスーパーマリオブラザーズの件を引き受けます。
ここで友彦は松浦が昔亮司の殺された父の質屋で働いていたこと、そして殺人当日松浦は亮司と亮司の母が自分と一緒にいたと証言していることなどを思わせぶりに話します。
(松浦はあの日亮司が自分と亮司が情事に耽っている時にそっと家を出たことに気づいていたという彼の弱みを握っている)
その後海賊版マリオについて捜査の手が及びますが、亮司はその時には友彦にすべてを任せて消えていました。
第九章
雪穂との結婚から2年。
彼の会社ではシステムの流出が問題になっています。そして彼自身も雪穂との関係に悩んでいました。
彼女は結婚してすぐに株を始めて、その後はブティック経営にも乗り出します。
また夜の生活も中絶の影響からか雪穂が痛がってしまい全くうまくいっていませんでした。
そんな時に雪穂にゴルフ教室に行かないかと誘われます。最初は乗り気ではなかったのですが、その中にかつて好きだった千都留を発見します。
雪穂は結局仕事の都合でゴルフ教室には通えず誠は一人で教室に通い千都留と恋仲に。
ある日、雪穂が会社の子を泊めているときに雪穂に辛辣なことを言われ誠は激高します。
朝目覚めると雪穂は眼帯をしていて昨日殴られたと話します。酔っていたとはいえ全く誠には覚えがありません。
しかしこのこともきっかけとなり誠と雪穂は離婚を決めます。
第十章
探偵の今枝直巳は東西電装の関係者からメモリックスという会社にシステムを盗まれているので調査して欲しいと依頼を受けます。
調べると秋吉雄一(のちに亮司の偽名とわかる)が入社してからこのシステムの研究が始まっていたことを突き止めますが、秋吉をいくら調べても東西電装との繋がりが見えません。
唯一ゴルフ場で誠と千都留が一緒にいるときに秋吉も近くにいたことだけがわかっていますが他に接点もなく調査は打ち切りになっています。
その後今枝は探偵として独立。ゴルフ場に来ていた今枝に誠が声を掛けます。
横には千都留もいて彼女はすでに誠の妻となり現在は妊娠しているようです。
そんな時今枝の事務所に篠塚から依頼の電話が来ます。
篠塚もまた今枝と同じゴルフ場に来たことがあり面識がありました。
調べて欲しいのは雪穂について、雪穂は誠と別れた後に篠塚の従兄である篠塚製薬の常務篠塚康晴と交際していて、篠塚康晴が彼女と結婚しようとしていることで彼女の素性を調べて欲しいというのが依頼でした。
篠塚一成は初めて会った時から雪穂に不信感を抱いていたのです。
今枝は雑誌の取材という体で雪穂の幼馴染等に調査します。
ここで雪穂について中学時代に悪い噂を流していたのが都子であることがわかります。
そして江利子もまた、雪穂があの時の犯人の可能性があると考えていることもわかります。
第十一章
調査を終え今枝は雪穂は株の時も全く予想できない株を大量に買いその後その株がものすごく上がるということがよくあったということからインサイダーの疑いもあったこと、そして都子と江利子が遭遇した不幸がとてもよく似ていること、そして江利子さんが襲われたのは恋のライバルだった彼女を蹴落とすためだったのではないか、彼女の目的は一成さんだったのではないかと考えていることなどを報告しました。
その後その今枝の下に刑事の笹垣がやってきます。
笹垣はマリオの海賊版についてなどの話を今枝にしますが、今枝にはその話の着地点がわかりません。ところが笹垣がある写真をみせて今枝は色々つながります。笹垣が見せた写真は亮司のものでした。
でもそれは今枝が知る秋吉雄一の写真だったのです。
今枝は過去の調査資料を再確認し、亮司と雪穂の関係に気づきます。
誠の会社のデータベースにアクセスするためのIDとパスワードをどうやって秋吉が手に入れたのかがわからなかったが、誠の妻であった雪穂と秋吉(亮司)がつながっていたなら入手することができたハズであることに。
そしてあの時ゴルフ場に秋吉がいたのは、誠と千都留のことを調査していたのではなく、雪穂が誠と離婚するために仕組んだということにも気づきます
早速今枝は誠に報告したいことがあると電話でつげ家に帰ります。
家の鍵をあけるときに少し違和感を感じましたがそのまま家に入りトイレの便座を開け、少しの違和感が警報並みの違和感であったことに気づいた時にはもう遅くそのまま今枝は亡くなりました。
第12章
栗原典子は道端で苦しそうにしていた亮司を介抱してから彼と付き合うようになった。
名前は雄一と聞いている。
雄一は最初はパソコン関係の仕事をしていたが、現在は無職で小説を書きたいからと帝都大学の薬剤師である栗原典子に青酸カリを少しだけもらってきてほしいと頼む。
典子は少し不安を感じたが、雄一の為に青酸カリを盗む。
ある日大阪に行くと雄一がいったため、昔の話をしない雄一だが時々感じる関西弁から彼の過去を知るきっかけがあるかもしれないと典子は無理をいってついていくことにする。
そのころ雪穂の母が亡くなる。
一成は康晴がどうしても仕事で抜けれないため彼女の葬儀に参加して欲しいと頼まれしぶしぶ大阪に向かう。
一成はかなり警戒していたが、一瞬雪穂に心を奪われそうになる。
ここで、新しい店舗のオープンを控えた雪穂の邪魔をしないようなタイミングで雪穂の母が亡くなったという話が出てくる。
第13章
笹垣はずっとあの事件を調査していた。
調書を読み返すと、あの時死体を発見した子供がドアから出ようとするとドアの前にたくさんの煉瓦が置いてあり全くドアが動かなかったという記述を発見する
その時は子供なので多分少しは動いてそこから犯人は逃げたのだろうと軽く流されたが、本当にドアが全く動かなかったとしたら逃げ道は小さい子どもが入れるダクトしかなかったはず。
ということは犯人は子供だったのではないだろうかと考えるようになった。
調べると、被害者の子供である亮司が雪穂とよく図書館であっていたことも判明する。
更に、事件後かなりの時間がたってから亮司の母から被害者の洋介は幼児性愛者であったことを聞かされる。
つまり事件の真相は…。
文代は雪穂のことをお金で洋介に売っていた。さらに言うと寺崎も彼女ではなく雪穂が目的だった。洋介は雪穂を自分だけのものにしたいと考え100万円で雪穂を譲ってほしいと文代に言っていた。(養女にしようとしていた)で、あの日も雪穂を建設途中のビルに連れ込みいたずらしていた。
そして初恋の相手でもあった雪穂と父親がビルの中に入っていく姿をたまたま自分の母と松浦が情事をしている最中に抜け出した亮司が、目撃して後を付けた。そして殺した。
その後亮司はドアから雪穂を逃がし、ドアの前に煉瓦を置いてダクトから逃げた。
現在その雪穂は康晴と結婚してる。彼には前妻との子供がいて長女の美佳は雪穂のことを生理的に嫌がっていたが、ある日美佳は宅急便を装った男に犯される(犯人は亮司と思われる)発見したのは雪穂。
雪穂は美佳を夫に内緒で病院に連れて行き、その後落ち込む美佳に自分も過去にそういうことがあったと告げる。
そのことで美佳は雪穂を慕うように(もちろん雪穂の計算)
その後笹垣と一成が康晴の家を訪れて、雪穂の正体について話すが康晴は全く信用しない。
しかし、室内にある雪穂が大阪からもってきたサボテンの鉢の中にサングラスのかけらのようなガラス破片があるのを笹垣が見つける。
それは松浦のサングラス(つまりここで松浦も死んでいることが判明)そして大阪の雪穂の実家の庭からは白骨死体が出てくる。
最近導入されたDNA検査を使えばようやく亮司が逮捕できると笹垣は考える。
笹垣は雪穂のブティックの大阪店舗のオープン当日に亮司が近くに現れると考え張り込むことに。
亮司は閉店時間になってもあらわれなかったが、通りがかった少女が切り絵をもっていて切り絵を得意としていた亮司がすぐそこにいたことに笹垣は気づく。
少女はサンタから切り絵を貰ったと告げ、ついに笹垣はサンタの恰好をした亮司を追い詰めますが・・・
亮司は2階から飛び降ります。
そしてその時にもっていた切り絵用のはさみが亮司の胸に突き刺さり亮司は亡くなる。
その時雪穂が近くにいたので笹垣は雪穂に彼のことを聞くも「知らない」と彼女は告げ一度も振り返らずにその場を去っていき、結局すべては亮司が行ったことなので、笹垣は雪穂を逮捕することはできないのでこのまま物語は終わります。
感想
図書館で「悪女」というテーマの福袋(テーマにそった本が入ってるけど中身はわからない)があったので借りたところ白夜行が入っていました。
もう一冊は火車
両方読んでいたけど、久しぶりなので再読。
普段再読することはあまりなく、しかも白夜行は最初に読んだ時の衝撃すら覚えているくらい記憶に残っている作品ですが、改めて読みました。
1973年の殺人事件から1991年まで、その時の流行なども取り入れながらずっと二人のその後を追う作品。
雪穂の人生がうまくいくように常に亮司が動くんだけど、その二人が会話してるシーンが一切ない。
それどころか常に二人の周りの人間の視点で語られてて二人がどう考えているのかすら見えない。というかそのあたりは読者に任せますという感じ。
そこが面白い。
小さい頃の初恋とその初恋相手を守るために犯した罪。
それを背負ってこんなにも切ない恋ってあるの??
って思いと
結局、雪穂は結局亮司のことをどう思っていたんだろうっていうね。
なんか読んでて苦しくなります
でもやっぱり面白い
私の中の東野圭吾作品浮動の1位