内容(「BOOK」データベースより)
40万部突破『代償』を超える戦慄のラスト!多摩川河川敷近くのレンタルコンテナから、女性の腐乱死体が見つかった。4人の関係者、3つの遺体、2人の刑事、そして1人の女。事件の裏に潜む、過去の因縁。その女と関わった人間は、すべてを失う―。著者渾身のクライム・サスペンス。
あらすじ&感想
伊岡作品は代償に続き2作目。
第一章 梅田尚之
40代独身の中学教師の梅田。今まで何度もお見合いパーティに行くも失敗していた。けれど今回はパーティで一番人気だったサトウミサキと第一希望同士になる。
彼は彼女を母親にも会わせ結婚を誓い、彼女のためにたくさんのお金を使うが、ある日彼女は結婚をしないと言い出し、しかも2000万の大金を要求する。
彼女の母が生け花教室の売り上げをまったく申告してないことや、彼が昔生徒に手を出したことなどもサトウミサキはなぜか知っていて仕方なく2000万を支払う
それで縁が切れたと思いきや、サトウミサキはまた尚之に近づき、実は若い男に脅されていてやったことだと尚之に告げる。
おかしいと思ってたあんな急にミサキが変貌するなんて、許さない・・・。と尚之は思うところで1章終わり。
めちゃくちゃ騙されてる尚之をばかだなぁって思いながら読みました。あと突然テレビニュースでコンテナで女性の死体が~と話してるシーンが差し込まれてて多分この女性があとで出てくるんだろうなとも
第二章 小田切琢磨
職場のファミレスでサトウミサキにナンパされる。琢磨はお金もないフリーターなのになぜこんなによくしてくれるのかわからない。
20万を超えるウォールナットのテーブルもミサキが買ってくれた。
一人暮らしのワンルームには似合わないテーブル
そこでセックスしているとミサキが「何か思い出さない?」と聞いてくるが何も思い出すことはない
ある日職場のファミレスにミサキがさえない中年男性を連れてきた(これが一章の尚之)「さっきのなに?」と連絡するも返事は来ない。ミサキのことを実は何も知らない琢磨
その後ようやく仕事の内定が決まる。ミサキはスーツも買ってくれて喜んでくれた。
そしてミサキはある写真をみせて念書にサインをしてくれと言ってきてそのサインする。以降まったく連絡が取れなくなった。
その後警察がサトウミサキについて聞き込みにやってくる。
サトウミサキとそして従妹の沙帆里のことも聞いてくる。この間連絡があり亡くなった旦那の保険金が入るから上京してくるといっていたけどそれとサトウミサキになんの関係があるのかわからない。
何もわからないまま警察が帰りほっとしたところまたチャイムがなる
ドアをあけるとミサキでも警察でもなくそこにはあの冴えない中年が立っていて・・・
第三章 青木繁子
認知症を患いつつ東京で一人暮らしをしてる繁子。最近はよくサトウミサキという優しい女性が自分の介護をしに来てくれる。他にも時々孫の嫁がやってくるけど、いつも怒っていて、自分はサトウミサキの方が好きだ。(だってお風呂でもいい気分にさせてくれるしという内容がありこの時は意味がわからない)・・・でもこの辺あとでなるほどとなります
孫の嫁の茜とミサキが言い争う声が聞こえてきます。繁子が痴ほう症で行方不明であること、そしてその息子の敦がマザコンで教頭を務めあげた後繁子になりきっているということも。
ということでこの繁子は敦でした。
自分が起こした事故で妻と息子を亡くしてしまい、そのことを母に責められ母も殺し母として生きていたのでした。
結局その後母の骨の一部が発見されたことで警察に捕まり敦はつかまり、精神病院へ行きます。
第四章 小谷沙帆里
第二章の小田切の従妹として登場してきた沙帆里が主人公。
彼女は役場で働いています。同級生だった桃花も同じ役場で働いていて、沙帆里はその桃花の自慢の夫を寝取っていてそれで桃花への劣等感を解消してました。
今は夫が亡くなり(実はミサキが風呂での事故を装い薬で寝た夫を風呂に沈めている)その保険金が下りるのを待っているところですが、サトウミサキという保険の調査員とやらが夫の死因に疑っているようです。
そしてそのミサキが出してきた調査書類には夕暮れの河原で少年少女があるものを取り囲んでいる写真。それにレポート。レポートに納得したら署名捺印してほしいとミサキは言うが沙帆里はそれを拒みます
そして沙帆里は行方不明に →この女性がコンテナの死体につながります。
第五章・第六章 宮下・安井
この二人は警察官。まずは部下の宮下から取っつきづらい上司の安井がどうやら事件の何かに気づいたようだがいつも一人で行動してしまう安井になんとかついていっているという話
次は安井側からの視点。体調がすぐれないが徐々に事件の真相に近づいてきている。宮下は最初は邪魔だなと感じていたが勘が鋭くなかなかできる部下なので一緒に回ることにしています。
安井はこの一連の事件が15年前の少年の自殺未遂に関連すると気づきます。
彼のクラスの担任(1章)その時の教頭(3章)いじめの主導者亮二(酔っぱらって空き家でねていたところ放火にあい死亡している)いじめのスタートの原因となりかついじめにも参加していた沙帆里など・・
自分もあの時、上司にこれは事件性がないといわれたもののいつも仕出し弁当の配達で来ていた母親が「調べてほしい」と警察に必死にいいに来ているのをみて、母親が自殺するのではと気になり一度団地を訪れていて、そしてその時に母親と関係を持っている
多分サトウミサキ(その時自殺未遂を起こしそのまま寝たきりになった男の子の姉)はその時のことに感づいていて復讐のためにヒントを与えているということまで気づく
ここからネタバレ
で、安井は当時の団地を訪れる。
団地のその部屋にはまだ「佐藤」という表札が出たままで、ドアを開けて入るとそこには当時のままの部屋。
そしてテーブルの上には自分宛の封筒がおいてあり、中には佐藤浩紀に対する暴行・障害・恐喝の記録とかかれたファイルが入っている。
中には当時どれだけひどい暴行などが行われていたかが書かれていて、読んでいるとミサキがやってくる。
安井はすでに病魔に襲われていて、なので自分はここで死んでもいいと考えその覚悟でミサキに事件についての真相を聞き出そうとする
で、結局は復讐なんだけど、そのたびにどうしようもないくずに自分の体を抱かせてから相手を地獄に落とすことにも快楽を得てるという部分もあるという話だった
結局安井はその団地で死亡する。隣には掘り起こされた彼女の母の骨も置いてあった(彼女の母は安井に恋していたとミサキは考えているため)
で、ミサキはいじめの首謀者だけど牢屋に入ってたので復讐できてなかった男を殺していて安井という上司を失った宮下は絶対ミサキを捕まえようと考えているというところで話は終わり
ちょっと最後の方うまくまとめられなかったなぁ
とにかく15年前のいじめが原因でした。
でもただただ弟のための復讐というだけではなく、自分の体を投げ出す必要がないときでもあえて彼らに抱かれそして復讐するという形をとっていてその理由あたりが一応書かれてるもののでもその辺がなんだかゆがんでいてねじれてて面白かったです。
ただRIKAに比べると話が通じる女性というだけでだいぶまし。首謀者などは殺されているけどその周りの人物は一応救済されてるともいえるし。
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