あらすじ
15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった……。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。
本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。
ネタバレ&感想
今のところ今年1番の作品
主人公は高校時代にフィンランドの無名の俳優アキマケライネンにそっくりな深沢暁と出会う。
周りのだれもその俳優を知らないが、アキは見た目だけでなく言動もアキマケライネンをまねるようになり周りにもアキとよばれるように。
そんな主人公とアキが33歳になるまでの人生が交互に描かれている本。
ちなみに、このフィンランドの俳優アキマケライネン 無名の俳優なので多分知らないと思うけどググると~って感じで書かれてるのでそして小説の中にいくつも本当にあった事件が登場するのですっかり実在する人物だと思いググったのですが架空の人物でした
ということで、アキマケライネンがつないだ二人の友情物語が前半。
年齢的に現在ミドフォーの私とほぼ同じ年齢。
なので彼らの高校時代から33歳までの時代背景はそのまま私の高校時代から33歳までの時代に当てはまります。
まずは高校時代。アキの母親はネグレクト。子供を育てる能力がなく時々気が向いたらかわいがるくらい。お金もないくせに、アキが選挙カーにひかれて得たお金で乗れもしない車を購入したりするタイプ。 アキは吃音があり中学時代はいい思い出がないが、高校に入り主人公にアキマケライネンに似てると教えてもらってから彼の映像をみて彼をまねするようになり、もともととてもやさしい彼は周りからも愛されるキャラに
その後アキは演劇の世界に主人公は父が自殺を疑われる死に方をして、その時に助けてくれた父の友人の弁護士さんに色々アドバイスをうけながら報道で世界を変えたいと映像会社に入社する
そこから二人は会うことが亡くなり、でも希望を胸に人生を歩んでいく。
で、彼らは一生懸命人生を生きていくんだけど。
主人公の方は不況でかわってしまったテレビ局のなかでボロボロになるまで使い倒されます。
私が入社したときもそういう大人いましたが、「俺も若い頃は3日寝ないで仕事した」という大人たちが上にいて、でも彼らは働けば働くほど給料ももらえて仕事も成功してきたバブル世代の人間たち。けれど主人公はただただ使い倒されるけど何も得ることができずただただ疲弊していきます。
一方のアキも劇団で下働きをし続けようやく手に入れた役が虐待をテーマにする劇でのめり込みすぎてつらい経験をする。
バブルのころの小説は何となく社会に出るのが嫌でフリーターをしながらでもいい感じに生きていけてるという小説が多いけど
彼らは一生懸命生きてるのになぁ‥。
自分では選ぶことができない親
自分では選ぶことができない社会
これだけ頑張っているのにどうして
最終的にアキはフィンランドに行きアキの恋人だった人と1年過ごしそしてなくなる(病気で)
主人公はそのことを彼からの手紙でしりボロボロになり会社をやめ立ち上がることができず部屋にこもっていたところから助けてもらいながら立ち上がろうとするところで終わり
主人公が部屋で動けないときに昔アキをひいた選挙カーにのってた「あんべたくま」が今は総理大臣になり選挙カーで演説している声が聞こえてくる。
本当に必要な人だけに生活保護がわたるように生活保護改革をすすめてまいります!本当に頑張っている人たちが損をする国であってはならない
と、彼はあの時アキをひいただけでなくまた今俺を殺そうとしてると主人公は感じる。
っていうシーンが最後の方に出てくる。
時々本を読んでいると今この本をとったのは偶然とは思えないと思うことがあるんだけど、どうしても安倍総理の襲撃事件を思い出してしまった。
家族は選べないし、不景気で自分がいくら努力しても昔のように報われない、努力しているのに一生懸命生きているのにどん底にいる。
そう感じた時にその時の怒りが自死や他者への攻撃になってしまってる。
子どもがそういう絶望を感じた時に、その怒りが次への一歩を踏み出す力になるような世の中に早くなってほしい。
今回は本当に読んでいて重かった~
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