今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。
あらすじ&感想
連絡短編集でもあり時系列はばらばらだけど並べ替えるとちゃんとつながっている長編でもあるお話。
死神の千葉さん 泥棒の黒澤 そしてここに出てくる陣内が私の3大伊坂さんの作品で好きな登場人物です。
バンク
時系列①
同級生の陣内と鴨居そして盲目の永瀬の若者3名が、猟銃を持ったサングラスにマスク姿の銀行強盗に遭遇することで出会う、
人質は12人(主婦と3人と行員8人)と犯人達曰く更に2名が別室に拘束されていると言う。
人質達はアニメキャラクターのお面をかぶっていて全員の顔がわからない状態。
空気の全く読めない陣内はこんな時でも一人ハイテンションで鴨居は一人ひやひやしている。
結局行員達以外は釈放され、犯人はお金を奪って逃げるが陣内は行員を含む全員によるマスクを使った内部犯行ではないかと推理する。
チルドレン
時系列④
家庭裁判所の調査官陣内とその後輩武藤は、万引少年志朗の担当に。
志郎の父親は、全国チェーン展開をする飲食店のオーナー。
軽い犯罪であるため二人は在宅のまま面接に臨む。
ところが、両親の長期旅行中で、逃亡中の誘拐犯である牧師が志郎宅に侵入し、両親に万引きを知られたくない志朗が、この牧師に父親役してもらっていた。
レトリーバー
時系列③
陣内は、家裁調査官を目指し勉強中に失恋
盲目の永瀬と恋人の優子と盲導犬レトリーバーのペスは陣内の失恋のフォローに当たる。
そんな3人+1匹が駅で屯していると、30代半ばの不機嫌そうなカップル(不機嫌カップル)カバンを抱えている中年オヤジ(鞄男)ヘッドフォンを装着した男(ヘッドフォン男)読書中の女性(読書女)も同じように駅までかれこ2時間くらい時がとまったように動かないことに気づく
そこで3人は4人が何故ここに長いしているのかを推理することに、
- 不機嫌カップルは別れ話の最中。
- 鞄男はリストラ宣告をされた
- ヘッドフォン男と読書女はテレクラで待ち合わせ中
と予想するが実際は・・・
陣内の失恋のリハビリに付き合わされる2人という構図がすでに面白い作品。
当然予想は全然外れます。
チルドレンⅡ
時系列⑤
武藤は家事事件担当へと異動になった。
離婚調停中の夫婦は、バツ2の大学教授の夫と教え子だった妻の親権争い。
イン
時系列②
銀行強盗事件に遭遇してから1年後。
永瀬と優子とペスは、陣内がギター演奏のバイトをしているということでデパートの屋上に。
陣内は中学校のブラスバンドの発表会にステージが奪われ熊の着ぐるみを着せられていた。
そこに偶然疎遠となっていた陣内の父親が現在の交際相手とその娘を連れてきたため陣内は父親をおもいっきりぶん殴る。
それまでの作品で陣内がわだかまりのある父親を自分の正体を知らせずにぶん殴ったといってた方法がここで明かされる。
好きな言葉
物事を言い切る人間を信用するな
柔軟さのない人間ってのは、歪むんだよ
音楽は時に人を救うからな
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