今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「ひきこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートのはずだった。あの「女王様」に出逢うまでは…。数馬にとって、彼女との出逢いがめくるめく悪夢への第一歩だったのだ。―全く先が読めない展開。個性的で謎めいた登場人物。数慄的リーダビリティが脳を刺激する、未曾有の衝撃サスペンス。
著者について
1961年千葉県生まれ。東京農工大学卒。88年『長い家の殺人』でデビュー。2003年に刊行された『葉桜の季節に君を想うということ』が「このミステリがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」の第1位に選ばれ、また第57回日本推理作家協会賞を受賞し、ベストセラーとなる。
あらすじ&感想
これまた感想の書きにくい作品。
物語は三部構成
- 「新藤数馬のうんざりするような現実」
- 「新藤数馬のめくるめく妄想」
- 「新藤数馬のまぎれもない現実」
ということで、ここからネタばれ
第一部の引きこもりの男性が車に向かうというここまでが現実。
第二部の妹という名の人形と一緒に買い物をしにいったら、小学生の女子である女王様に出会い事件に巻き込まれ、犯人扱いされ・・・・というのがすべて妄想で
第三部の車のシーンからがまぎれもない現実
そうなんです。まさにこの3部についている題名通り
これ題名書いちゃわない方がよかったんじゃないかなぁ。
題名に書いてしまってるせいで、読む前から「これは現実の話」「ここっからは妄想」とわかってしまいます。
ただし第二部は題名に書いてなかったとしても妄想として書かれてることがすぐわかるようになっています。「でもまぁ妄想だし4つまでは自由に設定変更できるぉ」と妹が言い出して警察署から脱出したり、人形である妹を現実の女子高生に変更したりと妄想だといわれなくてもはちゃめちゃ設定。
まぁでもここまで読んで、冴えない 44歳無職の引きこもりである主人公が人形を妹と思い話しかける気持ち悪さは残ってるけど、事件の解決という使命感によって徐々に引きこもりから脱出していくという妄想を通して冒険したことによって、冴えない44歳無職の引きこもりであることは何も変わらなかったけど、でもちょっとだけ成長したぞ♪とか明日から少しだけ頑張るぞ♪
みたいな終わり方を想像していたのですがその想像は見事に裏切られました。
第三部で、実は自分の誕生日の日にいまだにどうしようもない息子を養ってくれていた両親を殺してしまいそんな現実から逃げて妄想してただけでしたというオチが用意されている!
さすが歌野晶午。いつも想像と違うオチを用意してくるなぁ。
ただ、第二部の妄想が本当気持ち悪いおじさんの妄想全開で読んでて苦しい・・
あんなに妄想で事件進めなくていいから、もう少し簡単な事件にしてもらって、逆に現実の事件だと思わせておいて、妄想か現実かは後で種明かしされる方法の方が読みやすかったなぁ。
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