【10代にはもう戻れないと気付いた人に】 蹴りたい背中 綿矢りさ

今日の一冊

あらすじ

前回のインストールで17歳で文藝賞とったときも騒がれましたが、この時はさらにさらに騒がれました。

史上最年少19歳での芥川賞受賞

すごいなぁ19歳といえば高校卒業してすぐぐらい? 文藝賞受賞後初の作品が芥川賞って…。

作品は前作同様。

思春期の女の子が主人公。

思春期の女の子が感じる、世界と自分との間にある微妙な隔たりを描きだした青春小説です

ここからネタバレ。

中学からの友人と最近微妙に距離を感じクラスで孤立してきた女子高生ハツが主人公

主人公のクラスにはもう一人、ハツと同じようにいやそれ以上に孤立しているにな川がいる。

にな川は実はあるアイドルの大ファンで、ハツがそのアイドル(オリチャン)に会ったことがあると言ったことで、オリチャンについてのすべてを知りたいにな川とハツの間の距離は急速に縮まる。

けれど、にな川がハツに近づいたのは文字通りオリチャンについて知りたかっただけで、それに気づいたハツは淡い期待と裏切りとなんかもやもやした気持ちから彼の背中を蹴りたくなるという物語。

感想

ものすっごく等身大の小説でした!!


絶対10代にしか書けない小説。

なんだか無駄に神経が研ぎ澄まされていて、簡単なことも複雑に考えちゃったり、抑えきれない欲求がわきでまくっていたりで、読んでてもどかしくて「いーーーー」ってなっちゃう小説でした。

主人公は高校という狭い環境で他人に愛想笑いをしながら生きていくことがばからしいって思いつつも、でも一人は寂しいというまさに高校生ならではな感じの女子。

そんな主人公のところになぜか同じく独りぼっちのにな川が声をかけてくれて、なんとなく気持ちが分かり合えたと思っていたけど、

結局にな川が彼女に近づいてきたのはアイドルの追っかけのためとわかり、うっすら期待してた自分の気持ちや裏切られた寂しさや一人で平気なにな川の大人なところにいら立ち「蹴りたい」という衝動に集約されていく。

という思春期独特のもやもやをちゃんと文章にしてもらえてたことで、もう味わえないあの時代のじれったいようなもどかしような気分を再度感じることができる小説でした。

10代が主人公の作品だけど、10代が読むと

平凡な恋愛小説ですらない小説に感じてしまうだろうな

これはぜひとも2度と10代には戻れないと知ってしまった大人に読んでもらいたい小説。

この本の見どころ

本の最初の1行

さびしさは鳴る

一行目でもってかれるタイプの本。

この小説はこんな人におすすめ

  • 10代のころにはもう戻れないと気づいた人

この本が面白かった人におすすめの本

 同じく綿谷りさ17歳が主人公です

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