今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊坂/幸太郎
1971年千葉県生まれ。2000年、『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューする。04年、『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞、08年には『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞および第21回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
あらすじ
トムという猫が主人公
妻に不倫された公務員が気が付くと知らない場所にいて、そこにいたトムにトムが住む国について話を聞くという設定で話が進む。
トムの国は鉄国という隣国に支配されている小さな国
冠人という王がその町を守っていたけど、ある日鉄国の兵隊がやってきて冠人を殺してしまう。町の人はいろいろ考えて抵抗しようとするもなかなかうまくいかない昔クーパーを倒しにいき透明になってしまった兵士たちが助けに来てくれたら
と願っている。
でも、その真相は
ここからネタバレ
鉄国は猫や町の人が考えているよりずっと大きく昔からずっと支配されていた。
優しいくて国民のそばによりそってくれてると思っていた国王の冠人も実は鉄国のいいなり自分の保身のためだけに生きる人間だった。
鉄国にとっては小さな小さな国だけど鉄国の王が代わりその小さな国すらちゃんと支配しようと動きだしたことが今回の事件の発端。
最初にきた鉄国の兵士たちは実は偽物で透明になったと冠人が嘘をついていた鉄国に送られていたはずこの町の人たち。
彼らが鉄国の人になりすまし冠人に復讐しにきてただけでも実際鉄国はトムの住む国を支配しに来ようとしていてとても太刀打ちできそうにないってところで
その猫の話を聞いていたしがない市役所員が役に立つ。
彼はガリバーよろしくこの世界では巨人でこの町の人たちを鉄国の人達から守ることができた。
で、最後にはこの市役所員も元来た道を帰っていくところでおしまい。
クーパーとは巨大な杉の木だ。だが普通の杉ではない。スギの木の一本がさなぎになったあとクーパーとなる。クーパーは歩き回り、時には町を破壊してしまうこともある。それを阻止するために、トムのいた町からは昔から定期的に兵隊を派遣し、クーパーを退治していた。クーパーは滅びるときに体内から水を噴出する。その水がかかった兵士は透明になってしまうのだ。そうやって送り出された兵士たちは、ほとんどの場合町に戻ってこれなかった。
感想
ジャンルでいうとファンタジー小説が苦手なのでこの小説はファンタジー色が強く読みづらかった。
といってもクーパーについては冠人が作った嘘だし多分傷ついた町の人がクーパーに運ばれたと言っていたのは市役所員のように私たちが住む世界から紛れ込んだ人だと考えるとそこまで突拍子もない設定ではない。
そして設定上は知らない国だけど猫とネズミたちの世界も鉄国とあの町の世界も今の社会や国にも存在する支配するものとされるものの縮図で自分たちは何もかもわかってるつもりだったけど、実は井の中の蛙で鉄国のことも冠人のこともなんにもわかってなかったクーパーなんてそんなのいるわけもなく皆のんきに騙されてた。っていうオチをよんで「わーばかだなぁ」って笑えるかといわれるととってもそんな気分にはなれないというか、どっちかというと今の自分も騙されてる側じゃないの?となる本当は怖いグリム童話的な話でした
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