内容(「BOOK」データベースより)
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
重松/清
昭和38(1963)年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライターに。91年『ビフォア・ラン』で作家デビュー。99年『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で第124回直木賞受賞。ルポルタージュ、時評、評論など小説以外のジャンルでの執筆活動も高い評価を受けている
感想
死について書かれた短編集
死が身近になったとはまだ思えないものの死はとんでもなく遠いところにあるものではないと思い始めた私と子どもでは受け取り方が違うと思うけど、とにかく読んだ後は生きることや死ぬことについて考えることにはなりそう。
まだ死がただただ怖い子供には向いてないかもしれないけど、ちょっと大人な高学年なら読めそう。
ひこうき雲
30年近く前自分が小学生だった時のクラスメイトガンリュウ。
彼女はがっしりした体つきで女子では一番背が高く鼻の下にはうっすら産毛が生えていたそんな女子だった。
そんなガンリュウがある日病気で入院したのでお見舞いに行った時の話。
死がまだ実感できない幼い小学生たちが「その日」に直面していく動揺が描かれている。
朝日のあたる家
高校教師をしている主人公。夫を亡くしてからは娘と二人で暮らしている。
ある日偶然元教え子たちと会う。一人はカメラマンを目指しながらコンビニでバイトをしていて、一人は結婚して自分たちと同じマンションに住んでいたが、夫にDVされていて万引きの常習犯となっていた。
潮騒
余命3カ月の主人公。
病院で余命宣告を受けたその足であの場所へ向かう。
溺死した友人おかちゃん。その死をめぐって衝突した友人と出会い過去を振り返る話。
ヒア・カムズ・ザ・サン
母と二人で暮らしていた主人公。けれど母が癌になった。
「完璧に隠しとおすほどの強さもなくて、ちらっと思わせぶりなことを言ったりする、そんな母ちゃんの弱さとか、情けなさとか、甘ったれたところが、なんか笑えて、だめじゃん母ちゃん、と肘で小突いてやりたくて、母ちゃんのこと、俺、かわいいと思う。」
この箇所が私っぽいなぁって私もこうやって完璧に隠し通すこともできず子供らにちょっと思わせぶりに言っちゃったりしそうだなぁって。思いながら読みました。
その日の前に その日 その日のあとで
ラストの3つは連作。
妻和美が死ぬ。その日の前に新婚時代に生活した場所を歩くその日の前に
そして実際その日を迎える。和美は自分の病気のことを子供達には話さないでというが、主人公はその約束を破る。そしてその日中学生と小学生の子供達を連れて彼は病院に向かう。その日
そして和美がなくなり、和美宛でやってくるDMなど母を思い出すものを嫌う中学生の息子と、ママの話をしたくてしょうがない小学生の息子。そして看護師から預かった妻の最後の手紙には「忘れていいよ」と書いてあった その日のあとで
まとめ
実はこの本子供が通ってる塾の本だな(貸出可)にあって「あー確かにこの本なら小学生でも読めそうだなぁ」と思って書き始めたんだけど、ここまで書いておいてなんだけど、母が死ぬのラスト4作はちょっと小学生には早いかなぁ。少なくともこっちから勧めるのはなんかちょっと違うなと今なってます
でもひこうき雲なんかはなかなかよい話でそれだけ読んでもらいたいかも
ということでお勧め度は星3つ
私の場合、絵本を卒業して大人の本を読めるようになるまでの間あまり本をを読んでいない時期がありました。
それは子ども用の小説があんまりおもしろくなかったから。
もちろん面白い本もあったけど、ちょっと幼稚だったり、こういう大人になってほしいという大人の願いがこめられすぎてる本が多くて・・・
大人になってからも自分の子どもに勧めするために何冊か読んでみたけど今も大人の小説に比べると面白い本が少ないように感じる。
ってことで逆に大人が楽しめる小説の中でこれなら小学生でも読めそうというのを逆に見つけて行くことにしました。
題して「子供も読める大人小説」