内容(「BOOK」データベースより)
三年前に発生し、犯人逮捕で終結したはずの少女誘拐殺人事件。だが、その裏側にはあまりにも多くの嘘や裏切り、腐敗や汚職があふれていた。死期を迎えた刑事の告白、目撃証言に挟み込まれた意図、被害者の母の衝撃的告発、そして埋葬された記念品…。事件を洗い直すべく動き出した通信社記者と女性弁護士は、次々と意外な事実に突き当たる。ともに東京拘置所に収監されている死刑確定者と、勾留中の刑事被告人の間には、いかなる接点があったのか。ラスト10ページで明かされる驚愕の真相。「合法的殺人」に仕組まれたトリック。
著者について
緒川 怜
1957年東京都生まれ。東京外国語大学卒業。2008年『霧のソレア』(「滑走路34」改題)で第11回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビュー。他の著書に、『特命捜査』『サンザシの丘』がある。
あらすじ&感想
春園乙女という少女が何者かに誘拐され身代金を要求される。母親は娘を救うために犯人の指示通りに嘘の取引場所を告げたため身代金は奪われ、そして娘も帰ってこなかった。
この失態を何とかして取り返そうと躍起になった警察により浮かび上がった容疑者は出入りしていたディーラー山崎。 彼のトランクからは乙女の毛髪も見つかる。
そして裁判で死刑判決が。
ところが弁護士の櫻木は山崎は無罪で冤罪であると記者の恩田に協力を要請する。
記者の恩田が調査を始めたところ、目撃証言は信ぴょう性がなくそれどころか目撃者の女性には犯罪を犯した息子がいてその証言の後息子が不起訴になっていることがわかったり、誘拐直前にディラーの山崎が乙女ちゃんの人形を車にのせて届けてくれたことなどがわかり(その時にぬいぐるみに髪の毛が付着していた可能性がある)など冤罪の可能性がどんどん濃厚になっていく。
で、当時の担当刑事の村上のところへいくと(彼はすでに退職していて病院に入院している)過去の捏造を認める。ただ村上は捏造はしたがだが犯人は山崎で間違いない(犯人しか知りえないことも自白していた)とも言っていた。
この話を聞き、恩田的には村上刑事を信じたい気持ちのほうが大きかったけど、弁護士の櫻木はこの件は連続少女殺害犯だった栗原の犯行だったと考えていてそれを警察の体面のために捏造され冤罪がおこったのだと考えている。
連続少女殺害犯の栗原の犯行だったら必ず殺した少女の遺品を自分の思いでが残る場所に埋めているはずだということで探すと、栗原の娘との思いでの公園から乙女の唾液のついた服が発見される
やっぱり山崎は冤罪となり拘留が5日間とかれることになりました。
彼は逮捕される前に骨髄バンクに登録していてドナーが決まっていたためそれを実行するようです
で、その後。
死刑が執行されていた栗原が拘留されていた拘置所の部長と看守がお互い刺し殺しあいその場には乙女の身代金として用意されたお金が残されているという事件が起きる。
ということで真相は
これは全部櫻木が仕組んだものだった。
乙女を殺したのは本当は山崎で間違いなかった
でも、自分の娘の骨髄ドナーが山崎としり、死刑執行される前にどうしても山崎を外に出す必要があり冤罪をでっち上げたのだ。
記者の恩田を利用し、さらに山崎と取引し、そのお金を使って拘置所の人間に栗原の唾液を採取させたといった感じ。
感想としてはいろいろ詰込みすぎ感(乙女が本当は父親の子ではなく結婚前に強姦されたときにできた子供でそれを夫は知って娘を殺したんじゃないかと疑ったりとかは正直いらないかな)はあるけどでも面白かった。まさかそこか!!という着地点だったし大満足です。
恩田和志 通信記者
花園加奈子 娘を誘拐され殺される
櫻木希久子 弁護士
山崎哲也 花園加奈子の娘花園乙女を誘拐し殺した犯人として逮捕されている
村上清孝 山崎の取り締まりをした刑事
栗原稔 二人の少女を誘拐殺害したとして死刑判決が確定している男
大谷俊雄 栗原と接見し栗原の心の分析をした心理学者
山嵜修 山崎哲也が花園乙女を殺したとされる事件の2年ほど前に起きたレイプ事件の犯人だが実際は冤罪で無罪だった
佐々木 恩田を手伝う記者20代
小鳥遊武史 花園乙女の誘拐事件の時の唯一の目撃者の息子大麻事件で捕まっている