今日の一冊
内容(「BOOK」データベースより)
地方都市に住む幼児が、ある事故に巻き込まれる。原因の真相を追う新聞記者の父親が突き止めたのは、誰にでも心当たりのある、小さな罪の連鎖だった。決して法では裁けない「殺人」に、残された家族は沈黙するしかないのか?第63回日本推理作家協会賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
貫井/徳郎
1968年東京都生まれ。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補作となった『慟哭』によりデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
あらすじ
2歳の子供が風で倒れた街路樹の下敷きとなり、救急で搬送されるも搬送に時間がかかりなくなってしまう
子供はどうして死ななければいけなかったのか、子供の父である記者がその理由を追及するという話。
50台の主婦は道路拡張による街路樹の伐採に反対。5年に一度の街路樹の定期検査を伐採と勘違いして追い返す。
定年後の老人犬を飼い始めるが腰痛のためフンを拾うことはできず、そのまま放置している
30代医者アルバイト医として夜間診療をしている。責任を負いたくないので2歳の子の子が街路樹の下敷きになった事故が目の前で起きたが内科医のため受け入れ拒否をした
病弱な大学生すぐ風邪をひく。夜間診療にいくと混雑せずに診療してもらえることに気づく
市役所職員真面目だが、プライドは高い。子供たちに「糞をとる仕事」とバカにされて街路樹の糞を拾わなかった
大学生克子、車の運転が苦手。なのに美人で社交的な妹に甘い親が妹の希望するSUVを購入してしまう。案の定うまく車庫入れができず、車を放置して家に駆けこんでしまう。そのため渋滞が発生した。
造園業者の男 潔癖症になってしまい自分の妻や子供にも触れることができない。街路樹の5年に1度の定期検査があったが、糞がある木だけはどうしても検査できなかった。
ここからネタバレ
ということで、これらの些細な出来事が重なり、街路樹は強風により倒れてしまい、子供に直撃。
しかも目の前の病院には搬送を断られ、なおかつ道路は渋滞し搬送先への到着が遅れ子供は死亡したというのが真相。
その後、謝らなかった人物も妻に軽蔑されたり、看護師に愛想つかされたりとそれぞれが2歳の男の子を間接的に殺したことによる罪を背負う。
そして彼らに罪を犯したことを説明して回った主人公の加山も、自分は悪くないたった一度だしと事件前に家の生ごみをパーキングエリアのゴミ箱に捨てていたことを思いだし、自分もまたマナー違反をしつつも自分のせいではないと言い訳をする彼らと同種の人間だったということに気づき慟哭する。
感想
子供がなくなる話が多くて読んでいて心が痛い。
バタフライエフェクト 身近な言葉でいうとピタゴラスイッチを思い出した。
イライラしてる時や心に余裕がないときにしてしまった小さな行動や言葉がいつか誰かを大きく傷つけてしまうことがないようにしたい。
この本はこんな人におすすめ
- 全然関係のない出来事が次々にある事件につながっていくような話が好きな人
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