【グロテスクだけど面白い】奴隷小説 桐野夏生

今日の一冊

内容(「BOOK」データベースより)

長老との結婚を拒んで舌を抜かれた女。武装集団によって拉致された女子高生たち。夢の奴隷となったアイドル志望の少女。死と紙一重の収容所の少年…人間社会に現出する抑圧と奴隷状態。それは「かつて」の「遠い場所」ではなく「今」「ここ」にある。何かに囚われた状況を炸裂する想像力と感応力で描いた異色短編集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

桐野/夏生
1951年、金沢生まれ。成蹊大学法学部卒業。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった。2015年、紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

あらすじ&感想

ちゃんとしたって言葉が正しいかわからないけどちゃんとした小説が好きな人は嫌いな作品だと思う。

とにかく好き嫌いがすごく分かれる作品。

様々な「奴隷」をテーマにした短編集

架空の村のお話。

村では村長が絶対

村長の30番目の妻に選ばれた雀

もし拒めは雀は雀の母と同様舌を切られる

誇張して書いてあるけど昔々はどこの国も今でも国によってはある強制結婚。

最近は女性ファースト!とか言い出す女性のせいで「女性を優遇しすぎだ!」と反発する声もあるけど、もっともっと根深いところにある女性蔑視早くなくなってほしい

優遇なんてしなくていいから、女性であるという理由だけで仕事で嫌な思いをしないですむ世の中になれば、その時はこの話をもっと楽しめると思う。

突然武装集団に誘拐される女子高生たち

相手との交渉が決裂し人質だった彼女たちの存在は武装集団の単なる「もの」となることが決定する。

テロ組織イスラム国が題材と思われる作品。

確か実際に最近女子高生数百人が拉致された事件があったはず

泥の上を死体をふみながら逃げていく彼女たちにうまく逃げてほしいけど、きっとそうはならないのだろうなぁ。

それでも支配されないことを選択したという、彼女らの行動で未来の何かが変わったと思いたい

※追記

後で調べたら多分この事件がモチーフ

ナイジェリア生徒拉致事件 – Wikipedia

山羊の目は空を青く映すか

管理所に収用されているのは国家反逆罪を犯した罪人、彼らは監視様のもとで毎日労働している。

これも寓話だけど多分あの国の強制収容所をモチーフにしてるんだろう。

神様男

この作品だけ現在の日本が舞台。

シングルマザーのお母さんと二人の娘の話。

アイドルになりたいと東京に出て行った娘のライブを見に来た母親30代のアイドルオタクから娘のダメ出しを聞かされる話

他の作品は寓話を通して現実に無自覚に奴隷状況になっている人には刺さるような作風だけど、これは神様になった気分でいる男性の愚かさも感じ取れて、アイドル側にはもちろん神様側にも刺さるんじゃないかなぁ

REAL 

アサミは大学時代の同級生にあうためにサンパウロ空港にやってくる

2人の会話は噛み合ってるような噛み合ってないような

読解力のない私は、娘をなくした母親が旅行に出かけてる話なのにこれは一体だれが何の奴隷なの?となってましたが、まさにその娘の自殺という記憶にとらわれてる主人公がその記憶に縛られてる(奴隷になってる)という話でした。

ただセックスがしたいだけ

炭鉱で働く男たちはせっせと食べ物を保管し穴をあけただけのすみかを綺麗に掃除する、冬になり川が凍れば女たちが川を渡ってやってくるから。

セックスの描写がなければ日本昔話のような作品

これは炭鉱にいる側も、その男らから食料をもらうために体を売りにやってくる女側も奴隷だな

告白

前のただセックスがしたいだけの題名の時も思ったけど題名から想像した内容と全然違う

こちらは鎖国時代の日本が舞台

人を殺したヤジローは船を乗り継ぎゴアまでやってきた

ここまで来たら日本人はいないだろうと思っていたら、鎖国前にこっちにやってきたという一人の老人に声を掛けられる

これはホラーに近いのかな、ヤジローは殺人を犯してるとはいえ、理不尽なめにあっててちょっとかわいそう

全体の感想

全体的に現実世界とは遠いところの世界の話だったけど、形を変えだいぶ薄めてはいるものの今も十分に支配と奴隷の関係はあると思いました

そして気づかないふりをしてるうちに、この物語が身近に感じれるほど濃く煮詰まっていったら怖い

とも

この本はこんな人におすすめ

  • 少しグロテスクな話も大丈夫な人
  • 短編集が好きな人



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