【 7日間で終わった昭和64年】64 横山秀夫

今日の一冊

内容(「BOOK」データベースより)

警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

横山/秀夫
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活を経てフリーライターとなる。91年『ルパンの消息』が第九回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれる。98年『陰の季節』で第五回松本清張賞を受賞。2000年『動機』で第五十三回日本推理作家協会賞・短編部門を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 あらすじ

D県警シリーズ4作目

基本となる話は昭和64年に起きた未解決の誘拐事件。

昭和64年1月、D県警内で7歳の少女の誘拐事件が起こる。

刑事だった三上も初動捜査に加わるが、土地勘に優れた犯人に翻弄され身代金を奪われたあげく少女は遺体で見つかるという最悪の結末を迎えた。

そんな通称ロクヨンと呼ばれるD県警の最大の未解決事件から14年

現在三上は捜査2課から警務部へ異動をし広報官として働いている。

当初は未解決事件への悔しい気持ちを抱きながらも広報課の改革を目指していたが、娘がミス県警だった妻に似ず自分に似てしまったことから醜形恐怖症という心の病にかかり家出をして行方不明中という弱みを上司の赤間に握られ改革もとん挫し記者たちとの関係も悪化の一途をたどっている。

そんな中、時効直前のロクヨン事件を警察庁長官が視察することが決まり、被害者遺族宅への慰問のお願いをしに三上は被害者の父雨宮の家を訪れる。

そこで長官の慰問を拒否された三上は警察と雨宮の関係悪化に疑問を持ちロクヨンについて調べ直すことに。

そこで出てきた幸田メモとは??

ここからネタバレ

幸田メモとはロクヨン事件での刑事の失態を記したメモ

あの時雨宮の家には、世間には発表されていない犯人からの電話があった。

その電話を警務職員のミスにより録音し損ねてしまい、それをその時の班長が隠蔽していたのだ。

幸田メモとは、そのことを告発しようとしていたメモのこと。

結局幸田は職を失い、その隠蔽は今も歴代刑事部長の申し送り事項となっていた。

そんな時、また誘拐事件が起きる。

14年前と同じ身代金誘拐。

実はこの誘拐された目崎歌澄の父親こそがロクヨンの犯人で、この誘拐事件の犯人は14年前に娘を殺された雨宮芳男だった。

脅迫の電話は録音できていなかったが雨宮芳男は娘を誘拐した男の声をはっきり覚えていた

芳男は身代金の受け渡し時の対応から犯人は県内にいると考え、警察には頼らず県内の人間を電話帳に掲載されている58万件すべてに無言電話をかけ続けて探しあてたのだった。

目崎は娘は実際は無事だったが、それを知らされることなく犯人(芳男)の指示通り現金2000万円に火をつけて燃やし、娘は殺されたというメモを読み泣き叫ぶ。

これが芳男の執念による復讐だったのだ。

(幸田メモを残した幸田もこの誘拐事件を手伝っている。)

その後娘の無事が確認されたら、目崎は証拠隠滅をはかるも警察はかつて犯人の声をきいた関係者に耳実験を行い必ず立件すると誓う。

こうやってロクヨン事件は解決した。

実はこの無言電話は三上の家にもかかってきていて、三上の妻はその無言電話を娘からの電話だと信じていたため落胆する。

しかし、2人は娘は必ず生存していると信じている。

感想

D県警シリーズ他は短編なんですがこちらは長編。

ロクヨンという誘拐事件を主軸にしていますが、内部での権力争い中央と地方の関係や警察と記者たちとの関係など事件記者だった横山さんが記者当時に見てきたであろう警察の内部のあれやこれやがてんこ盛りに詰め込まれてます。

ロクヨンの誘拐事件は元ネタがあるようです。

身代金誘拐事件はその97%が解決しているな未解決のまま時効を迎えた群馬の身代金誘拐事件。(群馬功明ちゃん誘拐殺人事件)

横山さんが群馬で新聞記者をされていた時の事件なので、かなりの思い入れがあったはず

この小説を通してこの事件が時効を迎えた後も人々の心に残ることでいつか事件が解決したらいいなと思います。

この本はこんな人のおすすめ

  • 映画64の原作を読んでみたい人
  • 警察内部のことを知りたい人

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